【写真】白い歯こぼれる笑顔がかわいい! 小芝風花インタビューカット
■確かな演技力、スタッフから高い評価
昨年末、NHK「体感 首都直下地震ウイーク」で放送されたドラマ『パラレル東京』で、東京都内にマグニチュード7.3クラスの巨大地震が発生した場合、都心の生活にどのような影響を及ぼすか、というシリアスなテーマのなか、小芝は若手アナウンサー役として堂々たる芝居を見せた。
質の高い作品への出演が続き、そこで見せる確かな演技力は、ファンはもちろん、多くのスタッフから高い評価を受けている。まさに充実一途の印象を受けるが「昨年もたくさんの作品に出演させていただき、めちゃくちゃ楽しかった。充実しています」と目をキラキラさせる。
今回の『美食探偵 明智五郎』では、ワゴン販売の弁当屋「いちご・デリ」を営む苺を、ポップかつ愛嬌(きょう)たっぷりに演じ、小気味いい芝居を見せている。クセのある登場人物たちが顔をそろえているが、小芝は「原作の漫画を拝見させていただき、周囲はおかしな人たちばかりのなか、苺ちゃんは唯一のしっかり者。喜怒哀楽がはっきりしていて、文句を言いつつも、人に対しては面倒見よく接してしまう。そんなちょっとかわいらしいところを観ていただけたら」と期待を口にする。
本作の特徴は台本の厚さで、セリフの量がとても多い。小芝は「監督からも『普段の1.5倍ぐらいの速さで』と言われました。
■転機になった朝ドラ『あさが来た』
前述したように、近年の小芝は作品ごとに違った顔を見せ、役柄の幅が広がっている印象を受ける。「そう言っていただけると、とてもうれしいです」と笑顔を見せると「10代のころは、いい子でまじめな役に偏っていたのですが、私が自分で『こういう役をやりたい』と言える立場ではないので、一つ一つ丁寧に取り組み、出会えた縁を大切にすることだけを考えていました」。
こうした小芝のひたむきな姿勢が、20歳を過ぎたころから花開く。一度仕事をした監督やプロデューサーから「今度は違った小芝風花を見たい」とオファーが相次いだのだ。「コツコツですが、お芝居を始めて丸8年、自分がやってきたことを観てくださる方がいたんだな、とご縁のありがたさを感じています」と周囲へ感謝する。
中でも大きなターニングポイントになったのが、2016年に放送されたNHK連続テレビ小説『あさが来た』への出演だ。当時18歳だった小芝は、波瑠演じるあさの娘・千代を好演した。「作品自体の反響もすごくあったのですが、映像関係者の方からも『観ていたよ』と言われることが多く、そこから幅広い役柄のお話をいただくことができたんです」。
確かに『あさが来た』への出演を境に、戦争を扱ったシリアスな作品への出演から、小悪魔的な役、コミカルな役など小芝の芝居の幅が広がり、2019年放送の『トクサツガガガ』(NHK総合)では連続ドラマ初主演を務めた。「物語にとって大切な役を任せていただける機会も増えてきたな、という実感があります。
小芝は以前、20~25歳まで年齢ごとの目標をノートに書いていると話していた。現在は一つ一つクリアしている最中だというが、今回共演する連続殺人鬼・マグダラのマリア役の小池栄子には脱帽したという。「私と明智さんとのシーンは基本ワチャワチャしているのですが、マリアさんと明智さんのシーンは艶っぽいです。初めて苺とマリアが対峙(じ)するシーンでは、お着物の小池さんの迫力と目力がすごくて『こりゃ勝てない』って思っちゃいました(笑)。いつか私も小池さんのような、色気や強さを兼ね備えた女性をしっかり表現できるようになりたいです」と未来に思いを馳せる。
最後に、連続テレビ小説のヒロインの話題ではいつも小芝の名前が挙がる、ということを伝えると「これ書きますよね?」と苦笑いを浮かべつつ「叶わなくなってしまいそうで、思いを言葉にしてしまうのは怖いですが、私の中ではすごく大きな目標でもあります」と控え目に語ってくれた。(取材・文:磯部正和 写真:高野広美)
日曜ドラマ『美食探偵 明智五郎』は、日本テレビ系にて毎週日曜22時30分放送。