2019年に結成し、「まぁねぇ~」が「2020ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネート、今年からは冠番組やレギュラー番組も増え、絶好調のお笑いカルテット・ぼる塾。いつもどこか楽しそうな彼女たちは、産休・育休OKという働きやすい環境を整えているほか、大食い・水着・体を張るような企画は基本的にNGであることも公言している。
【写真】撮影中も仲良し! 青の衣装がキュートなぼる塾
■演技初挑戦は「楽しかった」
ーーLINE NEWSの動画コンテンツ「VISION」で配信されている『まめきちまめこ×ぼる塾 ニートの日常』で、初の演技に挑戦されていますね。あんりさんが犬のこまち、きりやさんが猫のタビ、そして田辺さんが飼い主のまめこを演じていますが、実際演じてみていかがでしたか?
きりや:せりふではなく鳴き声の「ナァ」だけで喜怒哀楽を表現しなければならなかったので難しかったですが、やっていくうちに楽しくなりました。タビはちょっとやんちゃなところがあって、私もふざけるのが好き。普段から二人にもちょっかいを出しているので、やりやすかったです。
あんり:私もすべてを顔や動きで表現する役でした。普段、田辺さんに言葉のちょっかいを出すことはあっても、体を使っては出したことがなかったので楽しかったです。
田辺:私はどうやってもこのしゃべり方になってしまって…。でも二人が一緒だから頑張れたし、二人の演技を見ていたから、私もまめこになれた気がします。
ーー原作の絵日記ブログの良さを残しつつ、ぼる塾さんらしさもありました。作品とぼる塾さんの共通点はどんなところだと思いますか?
あんり:周りから見たら「こんなことでそんなに笑う?」みたいなことでも「この人とだから笑えるんだよ」と思うことってありますよね。
ーー「まぁねぇ~」が「2020ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされたり、今春からは『ラヴィット!』(TBS系/毎週月曜~金曜8時)のレギュラー出演を果たしたりと大活躍ですが、ブレイクの実感はありますか?
きりや:今年からピンの仕事が増えました。あんりはもちろん、田辺さんも最近スイーツ関係で大活躍だし、私も一人で呼んでもらえるようになりました。
あんり:グループとしてだけでなく、一人ひとりの認識もされてきたのでうれしいですね。去年は単発でいろんな番組に出させてもらいましたが、忙しくて曜日感覚がなくなってたんですよ。でもレギュラー番組が決まったことで、「あ、今日は月曜日か」みたいに曜日感覚を取り戻してきて。すごいことさせてもらってるな、という感覚があります。
ーー田辺さんはどうですか?
田辺:えっと…
あんり:考えてなかった? きょとんとしてたよ今(笑)。
田辺:あんりの曜日の話聞いてて「あぁそっかぁ」って思ってたんだけど「あれ? 今日何曜日だっけ?」って考えてて(笑)。
ーー(笑)。
田辺:実感はあります! 街中を歩いていて、声をかけていただくようになりました。「応援してます」という声はとてもうれしいです。
ーーご活躍される一方で、多忙な日々を送っているかと思います。“福利厚生漫才師”とうたっているぼる塾さんが、今工夫していることはどんなことですか?
きりや:休みの日やYouTubeの撮影がある日には「この日は美容院行きます」など、みんなで予定を言い合っています。
あんり:マネージャーとのグループLINEで、スケジュールが空いている日は、それぞれ「病院行きます」みたいに予定を言って、絶対に仕事を入れさせない(笑)。去年は仕事にも慣れていなかったのでバタバタと必死だったんですけど、今年からは「忙しい中でもYouTubeをちゃんと撮影したいね」という話をして、週に1度テレビではなくYouTubeの撮影日を設けてもらっています。やりたいことは周りにもいろいろと聞いてもらってますね。
ーー皆さんで予定を共有されているんですね。
あんり:はい。美容院に行く日とか知ってます(笑)。■NGは挫折だったと気付いて生まれた責任感
ーーぼる塾さんは、大食い・水着・体を張ることなどの企画は基本的にNGだと公言されています。NGを貫いたことで得られたものはありましたか?
あんり:最初は本当に「やりたくないな」と思って出したNGでした。それを1度テレビで言ったら、それが自分たちのアピールポイントみたいになって、体を張ったりする人のことを否定的に見てる感じに映ってしまったんです。でも、そうじゃなかったはずなんですよね。
実際に自分たちができないお笑いをしている人を間近で見て、自分たちが「やらない」のではなくて「すごすぎて、こんなことできない」と思ったからNGを出したんです。「かわいそうだと思わせない」「ちゃんと笑えることにする」ってすごいテクニックだし、努力だと思うんですよ。
だから“NG”というよりは“挫折”だと気付きました。だからこそ、できないことを「できない」と言うのであれば、「やれる」と受けた仕事に対してはやらなきゃいけないんだ、という責任感を持てるようになりましたね。NGを出すというのは、「やらない」を主張することじゃなくて、「やる」を頑張らなきゃいけないこと。簡単に出したNGだったのですが、自分たちが軽く言ったことってすごいことだったんだなって今になって実感していますし、気付いたことで成長したいと思っています。
田辺:昔、女芸人の後輩ですごい体を張ってバンバン笑いをとってる子がいたんです。それを見て、悔しかったんですよ。まだぼる塾を組む前に、あんりに「あれできる?」「あれでは勝てないよね」と言ったことを今思い出しました。
あんり:逆に言えば“好き”でこれだけやってる田辺さんは本当にすごいと思います。NGを挫折って言いましたけど、それを乗り越えて別の道に行くというか、突き詰めたことをやってる。見ててやっぱりおもしろいじゃないですか、好きなことを語ってるときの田辺さんって。
ーー確かに、田辺さんはスイーツやKAT-TUNなど好きなことをたくさん発信していますよね。
田辺:最初に私が“好き”を突き詰めていこう、って思ったきっかけはあんりかもしれない。出始めたときに、あんり一人の仕事が増えてきて「あら? このままじゃやばいな」って少し焦っちゃったんです。同じグループで仲間だけど、(現在育休中の)酒寄(希望)さん含めメンバーはライバルでもありますし。
だけど、焦っている中でも、好きなものを発信して「私は人生を楽しんでるよ」ということを伝えていこうと思ったんですよね。それがアニメとスイーツとKAT-TUNさんだっただけ。私の好きはビジネスではなく、“純粋な好き”で、武器だとは思っていませんでしたが、今仕事につながって、結果的に良かったと思っています。
あんり:私が「NGは挫折だ」と気付いた頃に、ちょうど田辺さんがスイーツや好きなことで注目され始めたんです。そこで「田辺さんがいてくれてよかったな」と思いました。挫折を挫折だけで終わらなくしてくれたし、「好きなことを貫いていく」という生き方を一緒にやってくれて助かったな、って。「できない」って言ってるだけのぼる塾を、田辺さんが変えてくれた。
きりや:ありがとう!
田辺:いっぱい食べてきてよかった(笑)。
きりや:私は、あんりのピンの仕事が増えて、田辺さんもだんだん増えてきて…焦りというよりは「なんとかなるだろ」みたいな感じでいました(笑)。でも、インスタグラムになんとなくあげていた田辺さんとあんりの写真が、2021年のカレンダーになって、ただ好きであげていた写真が仕事につながったのは、すごくうれしかったです。写真を撮ることは本当に好きなので、いつか二人の写真集が出せたらいいなと思うし、今の私の夢です。あと、幼なじみであんりの写真が多いので、あんりの写真をネタに使って、いつかR-1の決勝出たいな、と…
あんり:いや、自分のネタでいってよそれは(笑)。
インタビュー中も抜群のチームワークを見せ、終始楽しそうに語ってくれたぼる塾。“NG”を“挫折”だといい、働きやすさや好きを突き詰める姿からは勇気をもらえる。ぼる塾のお笑いが多くの人を楽しませているのは、彼女たち自身が自分を楽しんでいるからかもしれない。この先の未来も、彼女たちが幸せそうに笑う姿をずっと見ていたい。(取材・文:山田果奈映 写真:高野広美)
『まめきちまめこ×ぼる塾 ニートの日常』は、6月16日から毎週水曜に、LINE NEWSの動画コンテンツ「VISION」で配信(全8話)。