『有吉の壁』(日本テレビ系)への出演や、お笑いコンビ・麒麟の川島明が『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で無観客ライブ配信について紹介したことなどを機に、再ブレイク中のお笑い芸人・もう中学生。その“実力”は、マツコ・デラックスをして「今一番好きかも」「一言でいうと“ヤバい人”」「狂気」と言わしめるほど。
【写真】実は写真が苦手だという“もう中” ちょっぴり緊張気味な撮り下ろしショット
◆テレビでは「常にテンションを下げています」
――太鼓は、何かのグッズなのでしょうか。
もう中学生(以下 もう中):あ、いいえ。なんか落ち着くから、持ってきただけです。(撮影を一緒に?)いえ、太鼓は大丈夫です。
――!?(笑) 取材の現場にはよく大きなモノなどを持って行かれるのですか。
もう中:そうですね。今日のお取材とかロケとかも、関係のない物を持って行ってしまって。お迎えに家まで来ていただいたんですけども、必要な物は全て載せたのに、「ちょっと待ってください」と、全く関係ない段ボールを取りに行ったんですよ。
――初冠番組の『もう中学生のおグッズ!』のオファーを受けて、どんなことを感じましたか。
もう中:いやあ、スタッフさんを前に言うのも何ですが、正直、「やばいな」「どうしよう」という不安しかなかったというか。まさか自分が冠番組を持つことがあるなんて考えながらテレビさんを観たことがないので。そもそも自分がテレビに出られることすら夢にも描いていなかったので、「ご迷惑かけたらどうしよう」「どうやってそれに対応できる自分になれるだろう」と日にちを数えていました。急にお笑いを覚えることもできませんから、焦りましたね。
――実際に番組を拝見すると、焦りとはほど遠く、すごく自由に見えて、カオスです。
もう中:自由にのびのび楽しくやらせていただいています。それに、朝、ロケが始まる前に必ず助六(寿司/稲荷や巻き寿司)を差し入れで頂けるんですよ。思わず長野の友達にも自慢したくらい。僕、助六が好きだと言ったこともないのに、「そこまで僕のことを知ってくださっている方々なら、もうやるしかないじゃん!」と。そこまでしていただいたり、乗らせていただくお車も光沢があったりして、「めちゃくちゃ光ってるじゃん!」というところから、「やらねばな!」と思いました。ただ、「やらねばな!」と思った瞬間に、僕は、見た目が気持ち悪くなっちゃうんです。
――「見た目が気持ち悪く」と言うと?
もう中:テンションが上がって、キャッキャキャッキャし出すので、駄目だなと思って。
――いつもはキャッキャキャッキャしていないんですね。
もう中:そうです。1度やる気になってグッと握りこぶしになるんですけど、その後に「あっ、これで力が入ったら変な感じになっちゃう」と思って、テンションを下げているんですよ。
――いつもテレビに出ているときは、テンションを下げた状態なのですか。
もう中:そうですね。
――そうなんですね! むしろしゃべり方などはテンションを上げて作られる芸風なのかと思いました(笑)。
もう中:常にテンションを下げていますね。暗い世の中なので、以前はずっと世の中の皆さんを明るく笑顔にしたいという思いでテンションを高くしていたんですが、親にもいろいろ言われるし、どこに行ってもハマらず、仕事がすぐ終わってしまったので、何が駄目だったのかとこの10年間考えていました。そしたら「あっ、テンション、間違えていたな」と思って。
――ずっと同じ芸風を貫いていらっしゃる印象がありました。
もう中:芸風は貫いているというか、段ボールお笑いしか思いついたことがないのです。
◆お笑い以外に興味はない 限界を感じつつも「僕だけは諦めていないからね」
――再ブレイクのきっかけとして麒麟の川島さん、有吉さんのお名前を挙げていらっしゃいますが、ご自身では再ブレイクの理由をどう分析されていますか。
もう中:いや、自分の中では1回目のブレイクがあったとは思っていなくて、自分の中ではずっと夢はかなっていなかったんですよ。ずっと自分の行きたいところに行けたり、やりたいことをちゃんとできたりしているわけではなく、あるとき、限界を感じて。それで、会社にも「もう僕には期待しないでくれ」と宣言していたんです。ただ、僕自身は自分の中でこっそり「周りにはこう言っているけど、僕だけは諦めていないからね」と自分に言い聞かせていたんですよ。
――「限界」と感じた理由は何だったのですか。
もう中:この何年間かは正直、周りに僕のことを知らない人が多くて。実際に単独ライブのチケットを売っても、何十人とかしか集まらなくて、宣伝も自分でやって手売りしなきゃいけない状況でした。それでも家に帰って一人になると、自分自身に「諦めていないからね」と言い続けていました。1日もお笑い以外のことは考えないようにしていました。他の誘惑には興味を持たなかったのが良かったかなと思います。今後も興味ないですし。
――お笑い以外には何も興味がない、と。
もう中:キラキラした景色とか、新しくできた物とか、楽しそうだな、良いなとは思うんです。でも、1度きりの人生だから、だったら自分の欲しいキラキラしたものは自分で手にしたいなと。まだまだこれからですけども。
◆自分は狂気じゃない――周りの芸人のヤバさにへこむことも
――もう中学生さんの魅力を語るときに「狂気」という言葉がよく使われます。ご自身はそれをどう受け止めていますか。
もう中:そんなことは本当にないなと。芸人さんは皆さん、隠しているだけで、狂気の部分やヘンテコリンな部分があるので、僕は普通の部類だと思います。
――ご自身よりも狂気を感じるのはどなたですか。
もう中:みんなヤバいですよ。(とにかく明るい)安村さんとか、僕なんかへこんじゃうくらいヤバいです。シソンヌくんとかジャンポケくんとかチョコプラくんとか、(『有吉の壁』で)なじみのみんなは本当にすごくて。みんな面白いし、すごいので、帰りのバスの中で電気を消してもらってちょっと話すと、いつもへこんじゃうんですよね。
――反省会みたいなことをするのですか。
もう中:「アハハ」「オホホ」笑いながらなんですけども、みんなで「あのとき、悔しかったね」「あのとき、こうだったね」と振り返るのを聞いていると、みんなずっと諦めていないし、365日ずっとお笑いのことを考え続けているんだなと思って。やっぱりそういう人たちの方が、良い意味でヤバいなと思うし、すごく努力していらっしゃるし。
◆「おじいちゃんおばあちゃんと声を出そう」教室に通う日々が今につながる
――最近はMCやレポーター、ナレーションなどさまざまな分野で活躍されています。「やっと時代が追い付いてきた」と言われることもありますが。
もう中:そんなことは全くないです。ただ、週に3、4回、海とか川で、一人で練習したり、こっそりですけども、おじいちゃんおばあちゃんたちと声を出そうという教室に行ったりはしていたことは何かにつながったかな、と。一時期仕事が全然なくて、もう何をして良いか分からず、ワンコインで学べる『おじいちゃんおばあちゃんたちと声を出そう』みたいな教室に平日の昼間に通って、声出しするくらいしかやることがなかったので。
――今のベースにはワンコインでおじいちゃんおばあちゃんと学んだ発声法があったのですね!
もう中:そうですね。17~18年目(2017~2018年)くらいからやり始めて、意味あるのかなとは思ったんですが、平日の昼間に家でボーっとテレビを観ているよりは何か動き出さなきゃなとは思っていたので。
――「まだ全然行きたい場所に行けていない」とおっしゃいましたが、今ご自身が考える「行きたい場所」とはどんなところでしょうか。
もう中:今もとってもとっても幸せなんですけども、まだまだ見たい場所、見たことがない場所はたくさんありますね。
――東京ドームは、段ボールが映えそうですよね。
もう中:確かに。段ボール映えする場所は他にもいろいろありそうですし、海外でもネタをやってみたいです。ただ、今こうしてお笑いができていることが夢にも思っていなかった事柄なので、もっと感謝を持って頑張んなきゃなと思っているんですけど。
――ところで、『~おグッズ!』をはじめとしたバラバラ大作戦枠で放送中の番組の中から一番面白い番組を投票で決める企画『バラバラ大選挙』が開催されます。グランプリを獲得すると特番が制作されますが、グランプリ獲得の際にはどんなことをしたいですか。
もう中:お選挙を経て、ますますおグッズがたくさんの人に届けられるようになれば良いなと。でも、それには普段の日頃の生活の中でいろいろ吸収することや、新たなおグッズを考えることなどが大切だと思いますので、あまり気張り過ぎず、かと言ってご一票はたいへん欲しいので、よろしくお願いいたします。
――ライバルとして注目している番組はありますか。
もう中:『ホリケンのみんなともだち』(テレビ朝日ほか/毎週火曜25時56分)でございますね。ホリケンさんは最高に面白いし、すてきだし、ライバルというか好き!なので、注目はホリケンさんでございます。(取材・文:田幸和歌子 写真:高野広美)
『もう中学生のおグッズ!』は、テレビ朝日ほかにて毎週月曜26時36分放送(※12月13日は26時41分放送)
【TELASA presents バラバラ大選挙】
「バラバラ大選挙」特設HPにて、12月20日(月)~2022年1月10日(月・祝)に投票受付。1月下旬グランプリ発表予定。