チケットを買ったのにイベントは中止、それだけでなく代金も戻らないという最悪の事態だった。

「K-POP IN 豊岡・神鍋高原」

 6月30日、こんなタイトルでKARAや超新星といった韓流スターが出演する予定だった兵庫・但馬ドームでのイベントは、大阪のイベント企画会社「アンフィニジャパン」が同22日までに事業を停止、事実上の倒産で頓挫してしまった。

 ほかに、Rainbow、ZE:A、Girl'sDay、NORAZO、パク・ヒョンビンなどの出演者が出る予定だった同イベント、事業停止の直前までチケットは販売されており、岡山方面からのチケット付きバスツアーも約2万円で売られていた。

 雲行きが怪しくなってきたのは6月中旬、広報を請け負っていた業者が「主催者の契約不履行」を理由に情報をストップ。一部出演者も各自で出演を取りやめる宣言をし始めていた。チケットの販売不振も明らかだった中、結局はアンフィニジャパンが自己破産を申請する形でお手上げ。同社が直接販売したチケット約500枚の購入者は“債権者”となってしまった。

 イベントに関わっていた広報関係者によると「主催者は、K-POPイベントは“やれば儲かる”という確証もないウワサを信じ込んでいる様子だった」と話す。

「KARAが出るだけでテレビ番組の視聴率が1~2%上がるとか、そんな話をしている人がいましたからね。約1万人収容の会場が、最低でも7割は簡単に埋まると豪語していたり……」(同)

 しかし、一方では複雑な人間関係のトラブルも浮上していたという。

「応援してくれるのはやはり在日韓国人の方々が多く、まとめて数千枚のチケットを引き受けると言ってくれていた在日実業家も複数いたんです。でも、そういった方々の間では派閥のようなものがあるらしく“●●(タレント名)が出演するなら応援しない”とか“■■(実業家の名前)が関わるなら協力できない”といった話が次々に出てきて、調整に苦労していたようです。当初、大口でチケットを請け負ってもらうはずだった販売代理店にも、そんな感じで背を向けられていました」(同)

 ただ、すでに収入となっていた一部の売り上げは、前払いのギャランティとして出演タレントの関係者に渡っているという。

「ある意味、仕事もしないで儲けた人がいます。

もともとこのイベントの立ち上げは、韓国の芸能プロとパイプがあるという話を持ちかけた日本の芸能関係者に乗ったもので、その人に騙されたような印象もあるんですよね」(同)

 韓流ブームといえば、大手広告代理店の仕掛けもあってメディアが過剰に煽った印象が強く、そうした現象を鵜呑みにして立ち上がったイベントだったというなら、煽ったメディアも罪深い。
(文=鈴木雅久)