毎年、大きな注目を集めるNHK大河ドラマが今年もスタート。2024年の『光る君へ』は、吉高由里子が紫式部を演じる物語だが、現時点では数字的に苦戦を強いられている。
「長い歴史を持つ大河ドラマにはいろいろな法則があります。“戦国時代は当たる”というのはその代表ですが、“近代や古代は当たらない”“女性の主人公は当たらない”というネガティブなものもあり、今作はネガティブなポイントが両方当てはまっているので、関係者の間では当初から苦戦を予想する声はあがっていました」(キー局関係者)
1話あたり数千万円の予算が投入され、他を圧倒する豪華な出演者を配する大河ドラマだが、近年はなかなかヒット作が生まれず、大河不要論まで噴出している。『光る君へ』も低空飛行でのスタートとなった。
「大河ドラマの主役に取り上げられた偉人は関連本がたくさん発売されますが、今年度は主役が紫式部ということで、書店や出版業界の動きが特に活発になっています。今作は紫式部が記した『源氏物語』が物語の核となりますが、『源氏物語』は過去に与謝野晶子、谷崎潤一郎、田辺聖子、瀬戸内寂聴、林真理子、角田光代など、錚々たる作家が訳していますし、大和和紀の名作漫画『あさきゆめみし』(講談社)の他、漫画化された作品も多く、出版業界はぜひともこれを売りたい。書店では例年、大河のコーナーを設けるのが恒例ですが、源氏物語は関連本も多いので、今年は大河コーナーが一段と広く取られ、大々的に展開されています」(大手出版社編集者)
一方では教育現場も『光る君へ』に興味津々だ。大手進学塾で働く講師は言う。
「古文は大学受験の重要な科目ですが、好きな生徒がとにかく少ないのが特徴。
さらに、時代の風も『光る君へ』には味方する。
「今作は女性が主人公なので、ジェンダー的な視点、フェミニスト的な視点から作品を語る論評が出てくるのは間違いないでしょう。当時は男性上位の社会でしたが、これを現代的な視点からどう捉えるか、当時の女性はどう捉えていたのかなど、作品をさまざまな観点から分析していくことができます。そこから1000年以上が経過しても、日本はいまだに女性の社会進出が進んでいないわけで、大河のストーリーとリンクするように論争が盛り上がることも考えられます。現在、日本社会が直面する重要な問題が皇族維持ですが、大河がフックとなって女性天皇、女系天皇議論が一気に進展する可能性さえあり得ます。愛子さまも『源氏物語』がたいそうお好きだそうですしね」(前出・キー局関係者)
朝ドラ『花子とアン』を大ヒットさせた吉高由里子は大河でも“光る君”になれるか。