最近、北朝鮮・咸鏡北道(ハムギョンプクト)の会寧(フェリョン)市の保衛部(秘密警察)の要員たちが、脱北者家族を相手に不法に仕送りを受けた事実を自首するよう強要している。保衛員の持続的な圧迫に自首はもちろん、仕送りを受けたおカネを上納する事例も増えているという。
デイリーNKの現地情報筋によると、会寧の保衛部は脱北者の家族を相手に、ここ数年の間に送金ブローカーと接触したことがあるか、脱北した家族と連絡したことがあるか、仕送りを受けた事実があるかなどを詳細に明らかにすることを要求している。
これは住民の外部との接触を徹底的に遮断する目的から行われているものだ。さらに保衛部は、脱北者家族に過去に仕送りされたおカネを上納することを強要しているという。脱北者の家族がこれに応じなかったり、非協力的な態度を見せたりする場合には「追放リストに載せる」と脅迫もしているという。
情報筋は「追放されれば、いくらおカネがあっても生き延びるのが難しい陸の孤島に行くことになる。脱北者家族たちは追放という言葉に極度に不安を感じている」と伝えた。
北朝鮮当局は「祖国を裏切った反逆者」である脱北者と連絡を取り、さらには金を受け取る脱北者家族を「危険分子」に分類して監視と統制を強化しているが、最近はその強度をさらに高めているのが実情だ。
このような状況で、一部の脱北者家族は過去にブローカーと接触した事実、脱北した家族と連絡した事実などを具体的に記した自首書を作成し、仕送りを受けたおカネを保衛部に上納している。実際、先月末、会寧のある脱北者家族は1万人民元(約20万円)を、また別の脱北者家族は6000人民元(約12万円)を保衛部に上納したという。
これらの家族が提出した自首書には、これまでどのような方法でどのようにおカネを受け取ったかについての内容が含まれており、これからはおカネを渡しに来る人を必ず申告するという約束も含まれているという。
これと関連して情報筋は、「過去には脱北者の家族が仕送りを受けた事実を隠し、保衛部の追及にも『知らない』『連絡したことがない』と粘ったものだが、最近は送金ブローカーが大勢逮捕される殺伐とした雰囲気の中で、追放の脅迫まで受けているため、自首して上納するケースが増えている」と話した。
また、過去とは違って、最近は脱北者の家族が、送金ブローカーが訪ねてきても最初から受け取らず、むしろ「早く帰れ」と追い出すケースも増えているという。