北朝鮮の対中国貿易依存度は極めて高い。2018年には91.8%だったが、2023年には98.3%に達し、過去最高を記録した。

国営メディアは、商店の店頭に国産品が溢れているかのように伝えているが、現実はその真逆である。

金正恩総書記は、市場における外国製品、すなわち中国製品の流通を抑え、国産品の販売を強く奨励している。だが、その取り組みに対する消費者の反応は非常に冷ややかだと、平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋は伝えている。

首都・平壌近郊に位置する物流の要地・平城(ピョンソン)市では、市人民委員会(市役所)商業部が、毎月の「党的課題」として「国産品を優先的に販売せよ」との指示を出している。さらに、市場管理所に対しては、外国製品の大量流通を統制し、国産品を優先的に陳列・販売するよう指導している。

これは、住民の間に蔓延する外国製品志向を問題視し、「ウリコッ(われわれのもの=国産品)が一番だ」という雰囲気を醸成しようとする方針の一環と見られる。

平城市には、全国から業者が集まる大規模な卸売市場があり、その市場管理所は他地域に比べて強い影響力を持つとされる。管理員の多くは幹部の家族や朝鮮労働党員であり、市商業部はその立場を利用して、党の課題遂行を強く求めているという。

管理員たちは、市場の商人に対し国産品を優先して販売するよう要求し、外国製品が目立つように陳列されていたり、それを宣伝して積極的に売る行為を取り締まっている。

しかし、消費者の反応は冷淡である。彼らは、国産品の中身が「なんちゃって国産」、もっと言えば「産地偽装」であることを見抜いているのだ。

「国産品といっても、輸入資材を組み立てただけで、完全にわが国で作った製品はほとんどないことを誰もが知っている」
「『ウリコッが一番』というのは、バレバレの嘘だ」(消費者)

さらに、質の高い製品は数が少なく、価格があまりにも高いため、とても手が出せない。


「値が張りすぎて買えないのに、どうやって買えというのか」との不満の声も上がっている。

国産のインスタント麺(即席国数)は、中国製と価格こそほぼ同等だが、味や食感が劣っており、消費者の支持は得られていない。

また、金正恩総書記が掲げた「地方発展20×10政策」に基づき、地方工場で生産された石鹸、歯磨き粉、歯ブラシ、シャンプー、リンスなどの日用品も、品質が低く人気はない。

「洗濯石鹸は汚れがあまり落ちない。歯磨き粉は香りがない。歯ブラシは硬くて使いづらい」

こうした酷評が消費者の間で相次いでいる。

その結果、国産品奨励や外国製品抑制の指示は、市場管理員にとってワイロをせびる口実と化してしまっている。

情報筋はこう語る。

「市場管理所を通じて統制や取り締まりの指示が下されるたびに、管理員の懐ばかりが肥えていく」
「商人たちは管理員の顔色をうかがいながらワイロを渡すのに必死で、結局は指示の効果はなく、管理員だけが儲けているとの非難の声が上がっている」

商人たちは取り締まりがあるたび、形式的に売場に国産品を並べながら、裏では外国製品を販売するなど、表向きだけ従う見せかけ対応を行っているという。

情報筋は次のように指摘している。

「商人たちは『指示が出た』と聞けば、従うふりをして国産品を並べるが、売れないためにパッケージは色あせ、ほこりが積もる」
「国は『ウリコッが一番』という空気を作ろうとしているが、質の悪い国産品の販売を強要するほど、不信と反感が高まるだけだ」

北朝鮮は非常に豊富な鉱物資源を保有しているが、それを生かすための技術やノウハウを持たない。そもそも製造に必要な電力や燃料の供給すらままならない状況である。

「輸入病(なんでも外国製に頼る傾向)」を否定し、「国産品愛用」を唱えるなら、まずはまともなインフラ整備から始めるべきであろう。

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