中国遼寧省・丹東と鴨緑江を挟んで向かい合う北朝鮮・平安北道の新義州は、中朝貿易の中心地で、かつては賃加工(請負加工)の仕事が盛んだった。しかし現在では受注量が大幅に減り、生活苦に陥る住民が急増していると、韓国サンド研究所が運営するサンドタイムズが報じた。

現地の情報筋によると、「中国からの注文による請負加工は単価が低くても、住民にとって重要な収入源だった」という。しかし、受注が減ったことで「日用品すら買えないほど生活が苦しい人が増えている」と語る。

昨年までは、編み物の装飾品や帽子、祭り用の灯籠、花飾りなど、さまざまな手工芸品の請負加工の注文が入り、「コロナ前の水準まで回復するのでは」と期待もあった。しかし今年は、昨年と比べて注文が大きく減少しているという。

そのため、請負加工で生計を立ててきた住民からは「単価が低くてもいいから、とにかく仕事が欲しい」という切実な声が上がっている。情報筋は「以前は1日あたり15元(約310円)程度の賃金だったが、今では7~8元(約144~166円)しか稼げなくても構わないという人が多い。中には1日3元(約62円)の仕事でもやりたいという人もいる」と明かした。

北朝鮮では職場に通っても給料の遅配や未払いが多く、中国向けの請負加工の仕事は貴重な収入源だという。情報筋は「仕事をして現金が得られるだけで、大きな支えになる」とした上で、「手工芸品の請負加工は大きく稼げるわけではないが、空いた時間にできるため家計の助けになる。だからこそ住民が求める仕事だ」と説明した。

かつて新義州一帯では、住民が作業班長となり作業場を運営する家庭請負加工が盛んだったが、現在このような形態の「家内班」はほとんど消滅している。今は輸出用の被服工場や、国家レベルの輸出品加工班を中心に請負加工が行われているが、「個人が自由に参加できる請負加工がいつ回復するのか、現時点では見通しが立たない」と情報筋は語った。

なお、受注が大幅に減少した理由については、情報筋は具体的に言及していない。

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