ロシアのプーチン大統領が、内妻で元新体操女王のアリーナ・カバエワと過ごす“愛の巣”ともささやかれる北西部ヴァルダイ湖畔の別荘が、いまや“要塞”へと変貌している――。欧州の独立系メディアが相次いで伝えた。

ロシア独立系メディアのMeduza(英語版)は13日までに、同別荘周辺に少なくとも27カ所の防空拠点が構築されたと報道。内訳は、近距離防空システムであるパンツィリ-S1用の塔が計26基、さらに長距離用のS-400の拠点が1カ所とされる。

別の軍事メディアも、2026年3月に新たに7基のパンツィリ用塔が建設されたと報じており、複数の衛星画像分析から防空網の急速な増強が裏付けられている。

注目すべきは、その“密度”だ。報道によれば、2023年時点ではわずか1基だったパンツィリ塔は、ウクライナ侵攻後に段階的に増設され、2025年末には20基、2026年春には26基へと急増。短距離迎撃を担うパンツィリと、広域防空を担うS-400を組み合わせた多層防空網が、個人の居住地を取り囲む形で構築された格好だ。

軍事専門家の間では、背景にあるのはドローン戦の激化との見方が強い。ロシア本土深部への無人機攻撃が相次ぐ中、低空で接近する小型ドローンへの対処として、レーダーと機関砲・ミサイルを一体化したパンツィリの重要性が急上昇。しかも今回確認された装備は、車両ではなく高所の固定塔に設置されており、全周監視と即応性を重視した“常設防空”の色彩が濃い。

一方で、ネット上では「パンツィリ26基はロシア軍全体の半数に相当」といった過激な見方も流布しているが、これは誇張の可能性が高い。パンツィリはロシア軍で広く運用されており、ヴァルダイに集中配備されたのはあくまで局地的な防護強化とみるのが現実的だ。

それでも、国家指導者の“私的空間”にこれほどの防空資産が集中的に投入されるのは異例中の異例。

ある欧州メディアは「小規模な軍事基地に匹敵する防御体制」と評した。

鉄壁の防空網に守られた“愛の巣”。その強化ぶりは、戦時下ロシアにおける指導者防護の優先度の高さと、見えない脅威への不安の大きさを、雄弁に物語っている。

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