北朝鮮が27日に公開した新型「軽量級多用途ミサイル発射システム」が、ウクライナ戦争で使用され世界的に売れている米軍の高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」を思わせる外観で注目を集めている。装輪式トラックの後部に箱型発射機を搭載し、角張った装甲キャビンを備える姿は、軍事ファンの間で今後「北朝鮮版HIMARS」と呼ばれそうだ。

だが、北朝鮮軍の“そっくり兵器”は今に始まった話ではない。

朝鮮中央通信によると、金正恩総書記は26日、新型の軽量級多用途ミサイル発射システムと多連装戦術巡航ミサイル兵器システムの試験を視察した。北朝鮮側は「AI終末誘導機能」「超精密自治航法システム」を備えた戦術兵器と誇示し、南部国境地域の長射程砲兵旅団への配備を示唆した。

公開写真を見ると、新兵器は米軍のM142 ハイマースを強く意識したような設計に見える。6輪トラックに箱型ランチャーを搭載し、発射後すぐ移動する「撃って逃げる(shoot-and-scoot)」思想を連想させる点も共通する。

もっとも、北朝鮮版はハイマースほど軽量化を徹底した形跡は乏しい。米軍のハイマースは輸送機で空輸可能な軽量性が売りで、迅速展開能力を重視する。一方、北朝鮮の新兵器は車体が大型で、長距離砲兵火力として韓国首都圏への攻撃を意識した“重武装型”との見方が強い。

北朝鮮が諸外国の兵器を思わせる装備を開発するのは珍しくない。

代表例が、短距離弾道ミサイル「KN23」だ。低空飛行しながら変則軌道を描く特徴から、ロシアの「イスカンデル」に酷似すると指摘され、「北朝鮮版イスカンデル」と呼ばれる。発射車両の外観から飛翔特性まで類似性が高く、ウクライナ戦争ではロシアに供与されたとの分析も出た。

また、北朝鮮の「KN24」は、米陸軍の「ATACMS」 を思わせる形状から「北朝鮮版ATACMS」と呼ばれてきた。平たい弾頭部や短胴のフォルム、精密打撃を重視した運用思想に共通点があるとされる。

さらに長距離巡航ミサイルでは、米国製トマホークに似た外形がしばしば話題となり、対戦車兵器でもロシア製装備との類似が取り沙汰されてきた。軍事専門家の間では「北朝鮮の兵器開発は独自技術と模倣の混成」との見方が一般的だ。

背景には、金正恩政権の現実主義も透ける。新技術を一から開発するより、実戦で実績を示した兵器を研究し、自国の工業力や戦場環境に合わせて“北朝鮮化”する方が早いからだ。韓国軍関係者の間でも「見た目のコピーではなく、敵の長所を吸収した低コスト版」との評価がある。

新型発射システムが本当に“北朝鮮版HIMARS”として機能するかは未知数だ。ただ少なくとも言えるのは、金正恩氏が公開する新兵器の多くが、どこかで見た“ブランド商品”の面影を色濃く映しているということである。

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