北朝鮮当局が、金正恩総書記の看板政策である「地方発展20×10政策」を進める過程で深刻な資金難に直面し、地方政府に対して国有地の長期使用権を住民へ販売する事実上の「土地賃貸事業」を認めたと、韓国メディア「サンドタイムズ」が27日、対北消息筋の話として報じた。 報道によると、北朝鮮当局は5月初旬、主要な道・市・郡の党委員会に対し、「地方建設資金確保のための柔軟な土地管理」方針を非公開で通達した。
名目上は国土利用効率の向上だが、実際には山間地や生産性の低い限界農地を住民に長期貸与し、使用料を徴収して地方建設費に充てるのが狙いだという。 北朝鮮では、農業生産性向上策として中国型家族農に似た分組管理制や独立採算制が部分導入された例はあるものの、土地使用権そのものの売却を容認する措置が確認されたのは異例とされる。社会主義体制の根幹である土地国有原則を揺るがしかねない「踏み込んだ市場化」との見方も出ている。 消息筋はサンドタイムズに対し、地方建設現場では資材・資金不足が慢性化しており、今回の措置が「干天の慈雨」のように歓迎されたと説明。中央予算に頼れない地方では、「自力で生き残れ」との圧力が強まるなか象徴的な政策として受け止められているという。 制度の下では、住民が一定額の現金を国家に納めれば、数年間の耕作権と比較的高い生産物処分の自由を得られるとされる。住民の間では「名前だけ賃貸で、実際は土地を買うのと変わらない」との声も広がっているという。 特に資金力を持つ「トンジュ(金主=新興富裕層)」が、水利条件や土壌条件の良い土地の確保に動いているとされ、農業部門幹部にドルや人民元を渡して優良農地を押さえようとする動きも報じられた。結果として土地使用料は公定価格を超え、闇市場並みに高騰。一部収益は地方建設資金だけでなく、幹部の私的利益にも流れているとの指摘がある。 一方で零細農民の不満は強い。これまで小規模耕作地で生計を立ててきた住民の間では、「祖先代々の土地まで国家が金で売るのか」「結局、金とコネのある者だけが地主になり、貧しい農民は小作人になる」との不安や剥奪感が広がっているとサンドタイムズは伝えている。
軍内部でも懸念があるとされる。軍糧米確保を重視する軍部にとって、個人耕作地の拡大は必ずしも歓迎できる動きではないが、党中央方針である以上、公然と異議を唱えにくい状況だという。消息筋は「軍と民、党の間で土地をめぐる“静かな戦争”が始まった」と語り、兵士の間では「金さえあれば党政策も動く」との冷笑が広がっていると伝えた。
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