2008年5月の設定来を含むさまざまな期間で「TOPIX(東証株価指数)」を上回る好成績を残している「日興ジャパン高配当株式ファンド」。高配当株に狙いを定めて運用するこの投資信託は、どうやって「TOPIX」を上回る好成績を叩き出し続けることができているのか。

 そこでダイヤモンド・ザイで「日興ジャパン高配当株式ファンド」のファンドマネジャーを務める小林敏紀さんを直撃! プロのファンドマネジャーが、その投資手法を語ってくれた!

高配当が期待でき、かつ増配していく銘柄を厳選!
配当の成長に注目すれば、値上がり益も獲得できる!

「日興ジャパン高配当株式ファンド」の成績は、TOPIX(東証株価指数)を意識せずに、絶対リターンを目指した結果です。高配当が期待でき、増配していく株を厳選。その結果、配当収入に加えて、値上がり益も獲得できたわけです。

 増配のためには利益が伸びるか配当性向を高めるかが必要です。まずは、きちんと現金を稼ぎ続ける力があることが大前提になります。

 さらに「稼いだ利益をどう使うのか」について、経営陣へ取材もします。成長への投資をしつつ、株主還元も強化する銘柄を絞り込みます。

 今後の配当政策が書かれた中期経営計画や、過去の配当推移も参考になります。業績が落ちた時も配当を維持しているのか、業績はどれぐらいブレるのかを確認しましょう。

 利益成長については、いわゆる成長株のイメージにこだわる必要はありません。成熟産業でも、再編や淘汰が進み競争が緩和された結果、利益率が向上している銘柄はたくさんあります。特に情報・通信や小売業は安定的に現金を生みやすく、株主還元を積極化する傾向があります。

高配当株がさらなる増配を発表するときの株価上昇は
配当利回りが平均以下の銘柄が増配するときよりも大きい!

 また、高配当株投資は、下げ局面に強い特徴があります。株価が下落すると配当利回りがアップするので配当狙いの買いが入るためです。

 一方で、アベノミクス以降の上昇局面でもTOPIXを上回れたのは、企業の変化をとらえられたからです。「ROE(株主資本利益率)」が注目される中、増配や自社株買いなど株主還元を強化する銘柄が増加。それらの銘柄は株価も堅調に推移しました。

■日興ジャパン高配当株式ファンドの組み入れ上位10銘柄を紹介!
 上位には内需のディフェンシブ銘柄が並んでいた!組入
順位 業種予想
配当利回り配当推移最新の株価前期今期
(※1)1 大東建託(1878) 建設業2.94%432円477円2 NTTドコモ(9437) 情報・通信3.12%70円80円3 ローソン(2651) 小売業3.13%245円250円4 NECネッツエスアイ(1973) 情報・通信4.19%70円72円5 青山商事(8219) 小売業4.74%155円165円6 アマノ(6436) 機械2.86%48円46円7 ネットワンシステムズ(7518) 情報・通信4.27%30円30円8 VTホールディングス(7593) 小売業2.99%18円
(※2)16円9 テクノプロ・ホールディングス(6028) サービス2.95%111.52円112.53円10 センコー(9069) 陸運業3.13%20円22円【解説】
2016年9月末時点の「日興ジャパン高配当株式ファンド」の組み入れ上位銘柄。10銘柄のうち、7銘柄は増配予想。過度な業種の集中は避けるが、TOPIXの比率で分散はせず、一定の偏りは許容する。なお、組み入れ銘柄は全部で53銘柄、平均配当利回りは3.47%。業種別の構成比率は1位が小売業、2位が情報・通信、3位が卸売業となっている。※ 配当利回りなどのデータは2016年9月末時点。
※1 今期の配当額は会社予想。
※2 記念配当を含む


 実は増配による株価上昇の効果は、高配当株のほうが強く出ます。株価が1000円で1株当たりの配当金が30円の株が、配当を40円にするとします。すると、配当利回りは一時的に4%になりますが、株価は配当利回り3%に収れんするように動く傾向があります。

 その場合、株価も配当の増加率に近い水準の上昇が期待できるのです。一方、平均以下の配当利回りから市場平均程度への上昇では、変化率は高いものの、株価はそこまで大きく反応しないことが多いです。

 ROEは「高水準で安定している銘柄」と「今は低くてもROEを高めようとする銘柄」の両方に注目。相場の下落局面は高位安定、上昇局面では高めようとする銘柄が運用成績により大きく貢献する傾向があります。
(以上、小林敏紀さん・談)

編集部おすすめ