![アメリカの「影の大統領」、ピーター・ティールの思想とは? [橘玲の世界投資見聞録]](http://imgc.eximg.jp/i=https%253A%252F%252Fs.eximg.jp%252Fexnews%252Ffeed%252FDiamond%252FDiamond_170909_1.png,zoom=600,quality=70,type=jpg)
著者のラッポルト自身も複数のインターネット企業を創業し、シリコンバレーでもさまざまなスタートアップに投資しているという。しかしなによりも、この本を書いたいちばんの動機はティールが自分と同じドイツ人だからだろう(ドイツの出版社からドイツ語で刊行されたのも同じ理由だ)。
ティールはフランクフルトで生まれ、1歳のときに家族とともにアメリカ、クリーヴランドに移住したが、鉱山会社で働く化学エンジニアの父の転勤で幼い頃は南アフリカや南西アフリカ(現ナミビア)で過ごした。それ以降はアメリカで教育を受けたが、いまでもドイツ語で会話ができるようだ。
本書はラッポルトがさまざまな資料からピーター・ティールの経営戦略や投資術、政治思想を分析したもので、ティール自身にインタビューしているわけではない。ティールはあまりメディアに登場せず、現在のところ、ジャーナリストからまとまった取材を受けたのは『ニューヨーク・タイムズ』などに寄稿するジョージ・パッカーの『綻びゆくアメリカ 歴史の転換点に生きる人々の物語』に収録されたものだけだ。