本社が宮城の警備会社トスネット
今回は、北海道と東北地方(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島の6県)に本社がある上場企業を対象に「年収が低い会社ランキング」を作成した。本社所在地はダイヤモンド社企業情報部調べ。
それでは、平均年収ランキングを確認していこう。
1位は、本社が宮城県の警備事業会社トスネット。年収は262万円だった。交通誘導や施設、列車見張り警備事業を柱にしている。
10位以内の企業の本社所在地をみると、同社を含め、宮城県の会社は5社入っている。一方、北海道が5社。
以下、まず、10位以内の宮城県の会社について解説する。
2位の倉元製作所は、液晶用のガラス基板を加工するメーカーで、年収は303万円。業績不振が深刻で、2014年12月期から19年12月期まで6年連続で純損益の赤字が続いており、18年12月期で債務超過に陥ったため、19年12月末までに債務超過を解消できなければ、上場廃止の危機にあった。3月30日には、事業再生ADR手続きの成立を受け、20年12月31日まで上場廃止の猶予期間の延長が認められたが、依然として厳しい経営状態が続いている。
6位の山大は、木材の製材や住宅資材の販売などを手掛けている。
9位のカルラは、「和風レストランまるまつ」や「そば処丸松」など外食事業を展開している。年収は377万円だった。
10位のホットマンは、イエローハットやTSUTAYAなどとフランチャイズ契約をし、宮城県を地盤に店舗を展開している。年収は385万円。イエローハットが15.6%出資している(2018年9月30日現在)。従業員の平均年齢が35.8歳と比較的に若いのも年収が低い要因と思われる。
ちなみにホットマンという社名には社員、取引先、顧客に対して温かく、仕事や夢に対して熱く燃えるという意味が込められているという。
3位は年収314万円!本社が北海道の有料老人ホーム
宮城県以外では、先述したように北海道の5社が上位10社にランクインした。
3位の光ハイツ・ヴェラスは札幌で有料老人ホームを運営している。年収は314万円。
4位のエコノスは、ブックオフやハードオフの加盟店で年収は332万円。同社は新規出店に伴い、前期に比べ、従業員数を26人、臨時従業員数29人増やしている。従業員の平均年齢は35.7歳と比較的に若い。
5位のキャリアバンクは、人材派遣や人材紹介、再就職支援などの事業を展開しており、年収は334万円。医師や看護師などの医療関係者や介護関係者向けの転職サービスも実施している。
7位のフジタコーポレーションは、ミスタードーナツやモスバーガーなどとフランチャイズ契約を結び、北海道を中心に飲食や物販を手掛けている。年収は348万円。
業績は振るわず、20年3月期の純損益は1億300万円と2年連続で赤字。健全性を示す自己資本比率は0.6%と極めて低く、危険水域に陥っている。
8位のリビングプラットフォームは、介護や障害者支援、保育の事業を展開している。年収は371万円。
上位10社の業種の内訳は、小売業とサービスがそれぞれ4社と多く、ガラス・土石製品、卸売業がそれぞれ1社ずつとなった。
一般的に、サービスや小売業は労働集約的な産業で、日本は欧米の同業と比べて生産性が低いとされている。今回の結果もそれを反映するものとなった。
福島、岩手、青森、山形、秋田各県で最も年収が低い会社は?
上位10社には入らなかったが、福島、岩手、青森、山形、秋田の各県で最も年収が低い会社もチェックしておこう。
福島県は、常磐興産が387万円で12位。映画「フラガール」で取り上げられた温泉施設スパリゾートハワイアンズを運営している。
岩手県は、北日本銀行が505万円で47位。業種的には、比較的に年収が高いといわれる銀行だが、企業数が少ないために50位以内に入っている。
青森県は、イオンの子会社であるホームセンターのサンデーが411万円で19位だった。
山形県は、食品スーパーのヤマザワが470万円で35位。秋田県は、企業数が少ないこともあるが、50位以内に入る企業はなかった。
福島、岩手、青森、山形の4県での最も年収が低い会社の業種の内訳(50位以内)は、小売業2社、サービス1社、銀行1社となっている。
(ダイヤモンド編集部 山本猛嗣)