コロナ禍の前に行われた20年卒の採用。果たして主要企業はどの大学から学生を採用したのだろうか。
1980年代~90年代にかけ「電子立国日本」を支えた電機・部品メーカーは、2000年代に入って中国や台湾、韓国メーカーの台頭で激しい競争にさらされた。生き残りをかけて各社は選択と集中を進め、現在に至っている。
例えばソニーは、不振が続いたエレクトロニクス事業を別の事業会社として切り出し、復活した。パナソニックは三洋電機を買収する一方、プラズマテレビから撤退。日立製作所はリーマンショック後に7000億円を超える最終赤字を計上し、大リストラに踏み切った。
苦戦を強いられた電機メーカーと比べて、電子部品メーカーはしたたかだ。スマートフォンなど新しい製品のキーデバイスを押さえ、日本だけでなく海外メーカーにも部品を供給することによって、過酷な競争を勝ち残ってきた。直近では各社とも、自動車の電動化の波に乗っており、いまや日本の電機産業を支えているのは電子部品メーカーだと言っても過言ではない。
19年のソニーの採用大学ランキングは1位慶應義塾大学、2位早稲田大学、3位東京大学だった。パナソニックは1位大阪大学、2位早稲田、3位同志社大学。
果たして20年のランキングの顔触れはどうなったのだろうか。
電機3社の1位は前年と同じ特色ある日本電産の採用
20年の電機メーカー3社のランキングは、ソニーの1位が慶應、パナソニックの1位は大阪大、日立は早稲田と、3社とも前年と同じ大学が1位を堅持した。
ソニーは2位が前年3位の東大、3位は前年2位の早稲田で、TOP3の顔触れは変わらなかった。10位までを見てみても、新たにランクインした名古屋大学以外の9校が前年と同じ顔触れとなった。
パナソニックは2位が前年3位の同志社、3位が前年同率7位の京都大学となり、関西の大学がTOP3を占めた。4位には立命館大学、同率7位に神戸大学も入っており、関西勢が強い。
日立は2位が前年3位の慶應、3位が前年2位の東大。そのほかTOP10に東北大学、名古屋大、大阪大、京大、北海道大学、九州大学と、旧帝大7校が全て入っており、優秀な学生を集めている様子がうかがえる。
一方、電子部品メーカー3社のランキングは、日本電産とオムロンの1位が立命館、京セラは同志社が1位となった。3社とも京都に本社を置く企業であり、関西系の大学からの採用がやはり多いようだ。
特色があるのは日本電産。
日本電産の永守重信会長は、世界水準の実戦力を備えた人材を育てるべく、永守学園理事長として京都先端科学大学の経営に携わっており、出身大学にとらわれず優秀な人材を全国から集めると明言している。TOP10には入らなかったが、京都先端科学大学からは3人が同社に採用されており、今後も同大からの採用は続くとみられる。
*ランキング表の見方
医科・歯科の単科大等を除く全国735大学に2020年春の就職状況を調査。551大学から得た回答を基にランキングを作成した。就職者数にグループ企業を含む場合がある。大学名横の*印は大学院修了者を含むことを表す。大学により、一部の学部・研究科を含まない場合がある。東京大学は「東京大学新聞」より集計。慶應義塾大学は就職者3名以上の企業のみ公表。企業名は大学通信の調査方法にのっとって表記しているため、正式名称と異なる場合がある。 調査/大学通信