1位は31.4歳で年収2000万円超
給与はインセンティブに上限なし

 今回は、上場企業の有価証券報告書に記載された平均年収のデータを基に、「年収が高い会社ランキング2021」をお届けする。対象は、単体の従業員数が100人以上の企業とした。

従業員100人未満の会社は少数の従業員で構成される持ち株会社などが多く、当該グループ企業の一般的な年収よりも高いケースがあるためである。

 ちなみに、昨年8月に配信した「年収が高い会社ランキング2020【1000社・完全版】」では、1位のイー・ギャランティのみ年収2000万円を超えた。2位のキーエンスから61位の富士フイルムホールディングス(HD)までが1000万円超だった。

 今年の上位の顔触れは、果たしてどうなっているだろうか。早速、ランキングを確認していこう。

 今年、栄えある1位となったのはM&Aキャピタルパートナーズで2269.9万円だった。2000万円を超えたのは、同社だけ。しかも平均年齢が31.4歳と、他社に比べて非常に若い。

 同社はM&A(企業、事業の合併・買収)の仲介サービスを柱に2005年、創業。13年に東京証券取引所マザーズに新規上場し、14年に東証1部に指定された。16年には、M&Aビジネスで日本の草分け的存在であるレコフグループを連結子会社化した。

 中堅・中小企業をメインターゲットとしたM&Aの仲介、アドバイザリーやデータベース提供などで急成長している注目企業である。

 顔はライオン、体は人間の「社長」がM&Aを検討するユニークなテレビCMで、社名を見たことがある人もいるだろう。

 実はダイヤモンド・オンラインの年収ランキングでM&Aキャピタルパートナーズは初登場。昨年、一昨年(「年収が高い会社ランキング2019」)にはランキング未掲載だ。

 これは同社の単体従業員数が100人未満だったため。昨年のデータを見ると、単体従業員数は98人で、平均年収はなんと3109.3万円!平均年齢は31.2歳!

 高年収ながら昨年からは大幅ダウンしているワケをIR担当者に尋ねると、「大幅ダウンと捉えられるのは心外。従業員の大半はM&Aコンサルタントであり、彼らの年収は毎年の業績でかなり大きく変動すると理解してもらいたい」とのこと。

 加えて「業容拡大のためM&Aコンサルタントの採用に力を入れていて、毎年25%ずつ人員を増やしていく計画」と明かす。新卒は採用せず、証券会社や銀行出身者の中途採用が中心だという。

 同社の採用情報を見ると、給与は「固定給+インセンティブ+業績連動賞与(年2回)」であり、「固定給については、前職の給与・実績等を考慮した上で当社規定に基づき決定致します」「インセンティブについては上限の無い支給となります」と注記がある。

 M&A仲介はざっくり言えば、会社や事業を売りたい人と買いたい人をマッチングし、さまざまなアドバイスやサポートをする仕事だ。設備投資や材料の仕入れ、製品の管理などは必要なく、コンサルタントの力量が会社の業績に直結しているといっても過言ではない。

 後継者不足や事業承継で悩む中小企業は多い。

こうしたニーズにM&Aという手段でうまく応えられれば、同社の業績と従業員年収はまだまだ伸びる余地がありそうだ。

 2位から5位はランキングではおなじみ、高年収で有名な企業が出そろった。

 2位は検出・計測制御機器大手のキーエンスで1751.8万円。3位は旧富士銀行(現みずほ銀行)系の大手不動産ヒューリックで、1708.2万円だった。2社とも高年収ではあるが、昨年からは減少している(それぞれ前期比4.8%減、3.0%減)。

 一方、4位と5位の総合商社は昨年から年収をアップした。4位は三菱商事で1678.4万円、前期比2.8%増。5位は伊藤忠商事で1627.8万円、前期比4.0%増だった。ちなみに三菱商事は昨年も4位、伊藤忠商事は昨年6位だった。

 総合商社でベスト5に入らなかった丸紅(昨年は7位)、住友商事(同8位)、三井物産(同10位)は何位なのか、逆転劇があるのかは、ランキング完全版で確認してほしい。

 今回、年収が1000万円を超えた企業は63社あった。業種別にこの63社の傾向を分析すると、最も多かったのは在京の民放テレビ局などを含む「情報・通信」で11社だった。

次いでM&Aキャピタルパートナーズなどを含む「サービス」が9社、大手商社を含む「卸売業」が7社だった。そしてヒューリックを含む「不動産」、第一三共や中外製薬などの「医薬品」が、それぞれ6社となった。

 どんな企業が年収1000万円超えを果たしているのかについても、ぜひランキング完全版でご覧いただきたい。

(ダイヤモンド編集部 柳澤里佳)

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