コロナ禍は3年目に突入し、いまだ収束のめどは見えていない。当初の予想以上に長引くコロナ禍に、ストレスを感じている人は多いのではないだろうか。

 そうしたストレスのレベルは、地域によっても傾向に差があるようだ。都道府県ごとのストレス度合いが低い人と高い人の含有率を基にした「ストレスオフ県ランキング2021」からその特徴を見てみよう。

 一般社団法人日本リカバリー協会、一般社団法人日本疲労学会、株式会社ベネクスなどが全国20~79歳の男女計10万人を対象に行った大規模インターネット調査『ココロの体力測定2021』を基に、全国の男性約4万3000人のデータから「ストレスオフ県ランキング2021【男性編】」を作成した。

 それでは、実際にランキングを見ていこう。

※集計期間は2021年11月15日~12月20日。厚生労働省実施の「ストレスチェック制度の健康状態項目」を基に独自加工して点数化し、77点以上を高ストレス群、39点以下を低ストレス群と定義。調査データを基にストレス分析を行い、各都道府県における高ストレス者(77点以上)と低ストレス者(39点以下)の含有率と全国平均を算出した。全国平均を100としたときの各都道府県のそれぞれの含有率を指数化。低ストレス者の指数から高ストレス者の指数を差し引き、「ストレスオフ指数」を算出。数値が高いほどストレスオフ県とした。

男性の「ストレスオフ県ランキング」
1位は断トツで茨城県

「ストレスオフ県ランキング2021【男性編】」1位は、茨城県となった。茨城県は、昨年のランキングでは9位だった。

 低ストレス者(39点以下)の割合から高ストレス者(77点以上)の割合を引いた「ストレスオフ指数」は39.7だった。2位は香川県で、ストレスオフ指数は27.0となっている。1位の茨城県とは10を超える開きがある。続いて3位には、沖縄県(ストレスオフ指数25.7)がランクインした。

ストレスが少ない人が多い県の特徴は?
コロナ禍での変化も

 ランキング上位地域にはどんな特徴があるのか。他の調査項目の回答と併せて分析すると、いくつかの傾向が指摘できた。

 今回のランキングで1位となった茨城県では、他の地域に比べて「疲れているときに休む意識が高い」傾向が確認できた。また、「コロナ禍で睡眠の質や量が向上した」と答えた人も多かった。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、私たちの生活は大きく変わった。日々の仕事や暮らしに制限が生じたことで、ストレスを感じた人も多いだろう。そうした中、ランキングの上位県では、コロナ禍で睡眠や運動など体をリフレッシュさせる行動への意識が良い方向に変化していたといえる。

 2位の香川県では「コロナ禍で運動の質や量が向上した」人が多かった。

また、3位の沖縄県では、多くの人が同じくコロナ禍で「パートナーとの関係、スキンシップが向上した」と答えている。

 続いて、全国のデータを基に、さらに詳しく見ていこう。

 年代別にストレスレベルごとの含有率を見ると、20~30代で高ストレス者が20%を超えており、年を重ねるほど高ストレス者は減少傾向にあることが分かる。20代では、高ストレス者と高ストレス注意者(63~76点)を合計すると全体の半数を占める。一方で、60代では78.1%が、低ストレス者と通常者(40~62点)だ。

人とのつながりや生活習慣
高ストレス者では「悪くなった」が多数

 また、先ほどコロナ禍における生活の変化について述べたが、実際、新型コロナウイルスが流行する前とその後で比べるとストレス状態にも変化が見られた。

 ストレスレベルごとの含有率をコロナ前の2019年の調査と比較すると、ストレスが多いことを示す高ストレス者(77点以上)の割合は19年には13.8%だったが、21年には16.0%と2.2ポイント増加している。一方で、ストレスの少ない「低ストレス者(39点以下)」は19年が12.1%、21年が10.6%で減少した。「低ストレス者が減り、高ストレス者が増えた」という傾向が指摘できる。

 コロナ禍では、社会や人とのつながりにも変化が生じ、こうした変化がストレス状態に与える影響も大きかったといえる。以下の表では、コロナ禍で社会や家族とのつながりがどう変化したかについて、高ストレス者、低ストレス者それぞれの回答をまとめた。

 これを見ると、ストレスレベルに関係なく、「家族以外の友人、職場の同僚、その他社会団体の人々との交流」については、悪くなったと感じる人が多いことが分かる。

コロナ禍で孤独社会の傾向が強くなったといえる。

 一方で、「パートナーとの関係、スキンシップ」「やるべき役割や目標の実現度」「会社・職場とのつながり」について、高ストレス者と低ストレス者で異なる傾向が見られた。高ストレス者では、いずれも「良くなった」と答えた人に比べて「悪くなった」と答えた人の割合が高くなっている。また、悪くなったと答えた人の割合は、低ストレス者と比べて非常に高いことが分かる。

 続いて、健康的な生活には欠かせない休養、食事、運動などの習慣について、コロナ禍における変化を見ていこう。厚生労働省の定める「健康作りの3要素(休養、栄養、運動)」に関する変化を、ストレスレベル別にまとめた。

 高ストレス者では、全ての項目で「良くなった」と答えた人に比べて「悪くなった」と答えた人の割合が高かった。休養の質・量については、睡眠、睡眠以外ともに悪くなったと答えた人が49.9%と半数近くに上る。高ストレス者の多くが、十分な質・量の休養を取れていないと感じている。一方、低ストレス者では、いずれの項目でも「悪くなった」人より「良くなった」と感じている人の方が多かった。

 コロナ禍3年目、変わった生活スタイルに徐々に慣れてきても、やはり人と会いづらかったり、運動不足になりがちだったりする中で気付かぬうちにストレスを抱えていることもあるだろう。十分な休養を取り、体をリフレッシュできるよう工夫してみよう。

(本記事は一般社団法人日本リカバリー協会からの提供データを基に制作しています)

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