1位は相鉄ホールディングス
首都圏に“進出中”の神奈川県の私鉄

 今回は、上場企業の有価証券報告書に記載された平均年収のデータを使って、「年収が高い鉄道会社ランキング2023」を作成した。本社所在地はダイヤモンド社企業情報部調べ。

対象期間は、2022年5月期~23年4月期。

 それでは早速、ランキングを確認していこう。

 1位になったのは、相鉄ホールディングス。平均年収は848.5万円だった。同社は神奈川県にある相模鉄道などを傘下に持つ持ち株会社だ。単体従業員数は82人、平均年齢は50歳となっている(2023年3月末時点)。

 相鉄グループは、鉄道やバスなどの運輸事業のほか、スーパーマーケットなどを運営する流通事業や、ホテル事業、不動産事業を手掛けている。グループ全体の従業員数は1万人を超える。

 相模鉄道が誕生したのは1917年。100年超の歴史を持つ長寿企業だ。神奈川県を基盤とする鉄道だが、2019年にはJRとの相互直通運転を開始。新宿駅まで乗り入れるようになった。

また、2023年には東急との相互直通運転も始まるなど、相鉄の車両が走るエリアは拡大している。

 続いて、2位は阪急阪神ホールディングス。平均年収は828.8万円だった。

 鉄道事業を手掛ける阪急電鉄、阪神電気鉄道をはじめ、阪急阪神不動産、阪急交通社(旅行事業)、阪急阪神エクスプレス(物流)などを傘下に持つ。単体従業員数は219人。グループ全体の従業員数は2万人を超える。

 日本民営鉄道協会のデータによれば、阪急電鉄の年間輸送人数は約5億7164万人(23年3月末時点)。大阪梅田をターミナルとして、神戸線、京都線、宝塚線で関西各所を結ぶ。地域に住む人にとって欠かせない存在だ。

 阪神電気鉄道の年間輸送人数は約2億1867万人で阪急電鉄よりは少ないが、大阪梅田や大阪難波、神戸三宮など関西主要都市をつなぐ重要な路線だ。また、阪神電気鉄道は、23年に日本シリーズ優勝に輝いたプロ野球球団「阪神タイガース」の経営母体(阪神タイガースの親会社)である。

平均年収800万円超えは3社
東急は単体従業員数がダントツ

 3位は西武ホールディングスで平均年収は811.2万円だった。

東京~埼玉を走る西武鉄道のほか、プリンスホテルを運営する西武・プリンスホテルズワールドワイドなどを傘下に持つ持ち株会社だ。西武ホールディングスの本社は、西武線のターミナル駅である東京・池袋駅近くにある。今回のランキングでは、平均年収が800万円を超えたのは上位3社のみだった。

 4位は東急。平均年収は796.9万円だった。神奈川~東京都西南部を結ぶ鉄道事業については子会社の東急電鉄が担っており、東急は「持ち株会社」の側面を持つが、同社は不動産販売業などの事業も手掛けているため“純粋な持ち株会社”ではない。単体従業員数が1482人と突出して多いのは、この影響があるといえそうだ。

 5位の京阪ホールディングスは平均年収745.7万円だった。傘下の京阪電気鉄道は、京都・大阪・滋賀の3府県にかけて路線網を持つ。年間輸送人員は約2億4361万人に上る(23年3月末時点)。

 以上が、平均年収が高い鉄道会社ランキングのトップ5社だ。実はこの1~5位までのラインアップ、「年収が高い鉄道会社ランキング」をダイヤモンド・オンラインで初めて取り上げた2021年版、そして前回の22年版と全く同じだった。

ただ、コロナ禍を経て、5社全て22年版のランキングより平均年収が上昇している。21年版と比較した場合、1位の相鉄HDと2位の阪急阪神HDは減少、3~5位の3社は増加していた。

 さて、トップ5の面々を見て、大手鉄道会社であるJR東日本・東海・西日本・九州がランクインしていないことが気になった人も多いかもしれない。JR各社は何位に入っているのか。

 ランキング完全版では、6位以下を含めた全24社を公開しているので、ぜひチェックしてみてほしい。

(ダイヤモンド・ライフ編集部 笠原里穂)

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