このギリシャ問題に加え、中国株に売りが続いたことも嫌気されました。MSCIが新興国株指数への中国A株の組み入れに関して、「多くの業務」があると指摘したことがきっかけとなり、29日の中国株は大幅下落しました。
中国人民銀行(中央銀行)は27日、政策金利と、一部銀行の預金準備率の引き下げを決定し、28日から適用しました。この金融緩和はポジティブ材料でした。しかし、29日の上海総合指数の終値は、前週末比139.843ポイント(3.33%)安の4053.030ポイントでした。一時は下落率が7.6%に達し、取引時間中として2カ月半ぶりに4000ポイントの大台を割り込んだのです。
ギリシャの国民投票まではノーポジでIMFに約210億ユーロ、ECBに約270億ユーロ、EUに約1840億ユーロの債務を抱えるギリシャのチプラス首相は、「実現可能な合意に至ることができなければ、返済はできない」と居直っています。「盗人猛々しい」という言葉がピタリと当てはまる「お言葉」です。しかし、身の丈をはるかに上回る借金をしたギリシャは、今まさに「借りた者勝ち」状態なのです。
そのギリシャでは、7月5日に国民投票が実施される予定です。そこで、国民が、EU側が求める財政再建策に賛成し、緊縮策の継続を受け入れるか否かが注目されます。
それにしても、金を貸すというのは損な行為ですね。貸してくれと泣きつかれた時に、そいつに貸してやると「神様、仏様、ありがとう」と泣いて喜ばれ、いざ、約束通り返してと催促すると、「お前は鬼か」と罵倒される。さらにひどい奴に当たると、当たり前のように踏み倒そうとする。そして、こちらが怒り、裁判等強制手段をちらつかせると、「取れるものなら取ってみろ」と開き直る(笑)。
全体相場の先行きに関しては、ギリシャの国民投票の結果が出るまでは、スッキリしないでしょう。今ここで、どうなるかを当たりもしない予測をするより(笑)、結果が出てからの市場の反応をみて、売るべきか、買うべきかの判断をするべきでしょう。
それまでは、「ノーポジ」か、両建て等での「デルタゼロ」のポジションで、相場全体を静観ですね。もちろん、デイトレで、超短期収益狙いの売買するのはありですが、オーバー・ナイトのポジションは、現金か、デルタゼロにしておくべきでしょうね。
なお、中国に関しては、中国人民銀行(中央銀行)による追加金融緩和に加え、中国当局が29日夜、年金保険基金に対し運用資金の3割を中国国内株に投資することを認める草案を発表したため、1兆元の年金マネーが株式市場に流れ込む可能性が高まっています。政策当局が、株価急落に対する適切な対応をし始めているため、6月30日午前の中国株式市場で上海総合指数が一段安となっているとはいえ、中国株式相場は早晩落ち着くとみています。
いま売買すべきは「超・超・超小型株」一方、東京株式市場では、足元の不透明な投資環境下で、「暴落相場の赤札銘柄(逆行高している銘柄)は買い」という相場格言よろしく、短期筋の資金は値動きの良好な、強い銘柄に集中する傾向があります。
フォーバル・リアルストレート(9423)は、6月26日に、「債務超過解消による猶予期間の解除」を発表したことが人気化のきっかけでした。テリロジー(3356)は26日に、日経産業新聞が「業務連絡などを装った『標的型メール』の添付ファイルからコンピューターウイルスを検知するクラウドサービスを提供する」と報じたことがきっかけです。日本ラッド(4736)は6月9日、「ネットワーク可視化システムNIRVANAの国内・グローバルでのカスタマイズ展開を開始」を発表したことが買い材料です。
ラクオリア創薬(4579)は、6月24日に「ダルババンシンの日本における開発・販売・製造権の再取得のお知らせ」、翌25日に「アシッドポンプ拮抗薬の日本における新規用途に関する特許査定のお知らせ」を連日で公表したことが好感されました。
トランスジェニック(2342)は、6月18日に「臓器ヒト化マウス」に関する国際特許出願のお知らせ」、6月22日に「TRECK TRECK システム受託製品販売開始のお知らせ」、6月23日に「当社グループ会社(株)新薬リサーチセンターと(株)ジェネティックラボにおける経済産業省 北海道経済産業局の「道内バイオ産業振興に向けた取組」への参画について」を、これでもかこれでもかとIRを打ったことが買い材料群です。
ちなみに、6月30日前場終了時点の各社の時価総額は、フォーバル・リアルストレートは45.29億円、テリロジーは81.84億円、日本ラッドは45.23億円、ラクオリア創薬は105.33億円、トランスジェニックは182.31億円です。
同時点のトヨタ自動車(7203)の時価総額が27兆8224.99億円、みずほFG(8411)のそれが6兆4188.64億円であることを考慮すると、とってもとっても、時価総額の小さいことが人気銘柄群の特徴です。会社の値段は時価総額です。時価総額ベースで価値の低い会社、安い会社であるということが、今のような相場で人気化する条件なのです。
なぜなら、全体相場を取り巻く環境が不透明で、大きな資金は市場に入ってきません。