昨年6月に移転した日本サッカー協会のJFAハウスで森保と対面したMCの勝村政信は、さっそく日本が躍動した2022年のカタールW杯について質問。大会では、森保の率いた日本代表が優勝経験のあるドイツとスペインを破り、世界を驚かせている。悲願のベスト8には届かなかったものの、森保は「すごく楽しく戦うことができて、次へのモチベーションというか、夢を持たせてもらう場になったかなと思います」と振り返った。
続けて、「W杯の舞台でチャンピオンになった経験のある国と本気の戦いをして、我々が今どういう立ち位置にいるのか、何ができて、何が足りないのかを知る絶好の機会になりました」と話し、日本が強豪国になるためには必要な経験だったことを強調した。
そんなカタールW杯から3週間後の2022年12月末には、次の北中米W杯に向けて第2次森保政権がスタート。会見での「まだ見ぬ新しい景色を見るために」という決意を新たにした森保の言葉には大きな期待が寄せられたが、一方で本人には葛藤もあったという。
それでも、今までと変わりなく代表監督を引き受けたのは、日本サッカー発展のため。森保は「二大会連続で監督が継続するのは初めてだと思いますので、いろんなことを継続してやることのメリットとデメリットが必ず見えてくると思いました。未来の日本代表や日本のサッカーの強化、発展になるように、ある意味サンプルとしてやらせていただこうと思いました」と心境を語った。
森保続投後の日本代表は快進撃を続け、2023年9月には再び敵地でドイツを撃破。
海外組はもちろん、国内組でも才能のある選手が出てきている現状を踏まえ、勝村から代表メンバーを選考する難しさを聞かれた森保は「めちゃくちゃ大変ですね。もう本当に“うれしい悲鳴”とかっていう表現をされますけど、うれしくないです。本当に辛いだけです」と本音をこぼして、一同を笑わせた。
そんな森保のメンバー選考は、局面を打開できる「個の力」と、仲間と連携できる「人と繋がる能力」を重視。森保は「個の力がありながらも、自分1人じゃなくて、仲間と連携、連動して、より個の力を引き上げられる選手を招集している」と言い、ボールを奪う能力に秀でた海外の選手に対抗するためには、こうした根幹の部分をレベルアップさせていかなければならないと訴えた。
これまで自分で判断したり、考えてプレーしたりするのが苦手と言われていた日本人選手だが、森保は確固たるベースを持った上での柔軟性は世界トップクラスだとし、「FIFAランキングで言うと、アルゼンチンとかフランスとかベルギーとか、世界の強豪がいるじゃないですか。
選手とのコミュニケーションを密にし、信頼関係を築いた上でチーム作りを進めていく森保のやり方は、明確な結果となって表れている。現在の日本代表は国際Aマッチ歴代最多の9連勝、合計39ゴールを記録。森保は勝利を重ねている日本の戦い方について、「基本的にはすべて優先順位の中でやっています。攻撃はボールを奪った瞬間にできるだけゴールに向かう、前に向かう、縦に向かうということを考えながら。
直近には4年に1度のアジアカップも控えている森保ジャパン。就任1年目で臨んだ前回大会は決勝で涙を飲んだ森保も「今度は決勝の舞台で勝って、優勝というタイトルを取りたいなと思っています」と宣言。さらに、その先の目標についても言及する。
2023年3月に開催されたWBCで始球式を務めた際に、侍ジャパンの監督だった栗山英樹から、「夢は正夢」と書かれたサインボールを手渡されたという森保は、「我々も世界チャンピオンになりたいと思っているので、そのボールを大切にしていきたいなと思います。
最後に勝村から「お正月なので、一筆書いていただこうかな」と促された森保が色紙にしたためたのは“自信と勇気”という言葉。森保は「日本のサッカーが積み上げてきたことで、間違いなく世界で勝っていけるだけの力をつけているということを指導者も選手も自信に思うということ。そして、世界一になる、W杯で優勝するということを考えたときに、さらなる勇気を持って成長していくことが大切だと思いまして、“自信と勇気”と書かせていただきました」と、その意味を説明した。