奈緒さんが主演したドラマ『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系)が、2023年にTVerで配信されたドラマ作品のうち、最も再生数が多かったドラマに贈られる「TVerアワード2023<ドラマ大賞>」を受賞しました。

『あなたがしてくれなくても』はハルノ晴さんの同名コミックを原作に、夫婦のセックスレスをテーマに描いた大人の恋愛ドラマ。
吉野みち(奈緒さん)と陽一(永山瑛太さん)、新名誠(岩田剛典さん)と楓(田中みな実さん)という2組の夫婦が抱える問題が表面化することで、それぞれの関係が複雑にもつれていきます。デリケートな問題に切り込んだ本作はSNSでも注目度が高く、リアルな台詞と共感性の高い夫婦のやり取りが話題を呼び、総再生回数は驚異の5600万回超えを記録しました。

TVerでは今回の受賞を記念し、奈緒さんの受賞コメント動画が特別配信されるほか、『あなたがしてくれなくても』が3月1日から期間限定で配信。そして、このたび授賞式に出席した奈緒さんが、TVerプラスに作品への思いを語ってくれました。

――2023年ドラマ大賞受賞おめでとうございます。まずは受賞の感想からお願いします。


この『あなたがしてくれなくても』という作品は、GP帯ですごくセンシティブな内容に触れるので、自分にとっても挑戦になるなと思っていました。その中で、これだけたくさんの方に見ていただけたことが、本当に嬉しいです。

――総再生回数は5600万回以上ということですが、この数字を聞いていかがですか?

ええっ!? びっくりです……すごいですね。今、初めて数字を聞いたので驚きました。当時、一話ごとの再生回数が「100万回」「200万回」と発表されるたびに撮影現場に数字が貼り出されていて、それを見ながら「これだけたくさんの方に届いているんだ」とみんなで士気を上げていました。TVerで見てくださった方たちにも支えてもらいながらの撮影でしたし、最終回の放送が終わった後にも「きっとTVerでは、まだ作品を見てくださっている方がいるんだろうな」とすごく考えていたので幸せです。


――ドラマ放送時には、反響も大きかったのではないでしょうか。

当時もたくさんの反響をいただきましたが、今なお知人との会話の中でこのドラマの内容に触れることがすごく多いですし、新しく出会う方からも「見てました」と言っていただけることがたくさんあります。夫婦のレス問題や、それがきっかけで起こる夫婦のすれ違いを描く作品ですが、きっと見る人の立場によって受け取るものが違うので、「どういうものをみなさんに受け取っていただけるのか」は私たちも未知数だったんですよね。なので、「ドラマを見て共感もしたけど、相手の気持ちを考えるようになった」「相手と話すようになった」といったお声をいただくと、みんなで向き合って作ったこの作品が、今でもみなさんの会話のきっかけになってくれていることを感じて、すごく嬉しいです。

――撮影時の出来事や、共演者とのエピソードで印象的だったことを教えてください。

瑛太さんは、最初から「何があっても味方でいるから」と言ってくれて。
陽ちゃんとみちが新しい関係を2人で築いていくところに向かうまで、すごく支えていただきましたし、瑛太さんが陽ちゃんだったから、自分もみちの決断を共に辿ることができたと思います。岩田さんは同じ境遇の役だったので、気持ちがわかるからこそ「2人にとってどうしたほうがいいかな」と現場で話し合うこともあって、その時間にすごく助けられました。でも実は、物語の中盤からはプライベートで田中みな実さんとお話する時間もすごく多くて。撮影期間中にみな実さんのおうちに伺って、「作品をどうしていったら、より良くなるか」という話をたくさんさせていただきました。シーンが一緒じゃなくても、一つの作品を作る仲間として相談させていただけたことは、いち俳優部としてすごくありがたい時間だったなと思っています。

――キャストのみなさんが、積極的にドラマ作りに参加された作品だったんですね。


そうですね、本当にみんなで一緒に作っていくことができました。一人ひとりが自分の役と向き合うことで悩む時間もあったと思うし、それをみんなで共有して、さらに一緒に悩むこともあって。それを乗り越えて作品を作っていったので、本当にすごく濃い時間だったなと思います。

――『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(フジテレビ系)のスタッフが再集結した作品ですが、『あなたがしてくれなくても』チームにはどんな思いがありますか?

私はもともと『昼顔』が大好きなんですよ(笑)。リアルタイムで見ていて、当時本当に大好きなドラマだったので、現場に入った時には心の中でそわそわしていて、もう(『昼顔』のファンだと)言わないでおこうって途中まで思っていました(笑)。なんだか本当に幸せな時間でしたね。
あんなにすごいドラマを作った方たちが、今こうして新しいドラマを作っている現場に参加できていることもそうですし、本当にチームワークが出来上がっていたので、私たちは“ただいるだけでいい”というか。プロフェッショナルな空気の中でお芝居と向き合うことができて、時には緊張感があるからこそ作れたシーンもたくさんあります。そこは一つ、みなさんとご一緒できたことで自分自身も成長できたなと思いますし、心から感謝しています。

――ワンカットのシーンも多く、演じる側としては難しいところもあったのではないでしょうか。

全シーンではないんですけど、いくつか撮影に入る前にリハーサルでお芝居を見ていただいて、そこから長回しのシーンが生まれることもありました。「きっと信じてくださっているんだ」と、(完成した)台本を読んだ時にはすごく嬉しかったですね。
だからこそ「やらなきゃ」という思いはありましたが、不安はあまりなくて。どちらかというと、台本と向き合う時間のほうが難しかったんです。現場に入ってしまえば、そこには信頼するスタッフのみなさんがいて、目の前には陽ちゃんがいたり、新名さんがいたり、楓さんがいたりして。本当にみなさんがいるだけで、安心して現場にいることができました。

――『あなたがしてくれなくても』を通して、ご自身が得られたものを教えてください。

作品自体もすごく挑戦でしたし、自分自身にとってもみちという役は挑戦でしたけど、やっぱり「挑戦してみないと見えない景色があるんだ」というのは、今回のドラマで学んだことです。“挑戦する”といっても何かを挑戦状のように叩きつけるのではなくて、今まで触れられずにいたものに触れてみることが一つの挑戦だと思うので、そこに触れた時に「どう向き合っていったらいいんだろう」「どう優しくできるだろう」と考えることが大切なのかなって。今回はみんなで粘り強く作品と向き合って、その時間があったからこそ、この作品を作り上げることができました。お芝居をする上でも、実生活でも、たとえ人の気持ちに触れられないとしても、近寄ってみることは諦めずにいたいと、今回のドラマを通じて感じました。

――あらためて、奈緒さんがTVerで見返したいと思うシーンは?

たとえば映画でも、前に見た作品を見返した時に、その時に自分が置かれた状況で感じ方が変わっていたり、受け取り方が変わったりすることって結構あるんですよね。ドラマ放送時は、どうしてもみちの気持ちに自然と寄り添って見ている部分があったので、ちょっと期間が空いた今の自分自身だったら、また違う視点で見られるのかなと。印象的なシーンもたくさんありますけど、すごく小さな積み重ねで出来ているドラマなので、是非1話から、自分自身も見返したいなと思っています。

――最後に、作品ファンへメッセージをお願いします。

このたび、みなさまのおかげでとても光栄な賞を受賞することができました。本当にありがとうございます。放送当時、みなさんからたくさんのお声をいただいて、そのお声のおかげでドラマが成長していくことができました。今回、全話配信ということですので、今の自分だったらどう考えるだろうかと、今一度みなさんにご覧いただきたいです。もしかしたら放送時と気持ちが変わらずに、誰かを応援したり、共感したりするかもしれませんが、また見返すことで、みなさんの中に違う新しいものが生まれる瞬間があったら、すごく光栄です。是非もう一度、『あなたがしてくれなくても』を見守っていただけると嬉しいです。