■新井大輝クラス唯一のFF車で奮闘
前日の夜から降り始めた雨は、予報通りデイ2の朝まで残った。デイ2の舞台は、前日の逆走を含むすべてのステージが丹後縦貫林道で構成され、SS数も前日と同じ6本。SS9と12の終盤に通るスイス村には、ギャラリーステージも設定されている。
ウェットコンディションのなかスタートしたオープニングステージのSS7を制したのは、JN2クラスで速さを見せてきた山田啓介/藤井俊樹 組のGRヤリス。ウェット路面をチャンスと見てスパートをかけていた新井大輝/毛利太哉 組(プジョー 208 ラリー4)のタイムをわずか0.1秒でかわし、このラリーで初めてのステージベストを奪う。そしてこれは、コバライネン/北川 組に土をつけた唯一のステージとなった。

●前回の連載「ユウイチ日記」でも登場した山田啓介がSS7でステージベストをマークする
雨が上がり、徐々に路面が乾いていくにつれ、コバライネン/北川 組はスピードアップを始める。蓋を開けてみれば続くSS8から最終SS12まで圧巻の5連続ステージベストを奪い、シーズン4勝目を飾った。「ウェット路面で少し難しい場面もあったが、ラリーを楽しめたよ。次戦からグラベルラリーになるから、しっかりと準備したいね」とコバライネンは語っている。

●優勝したヘイッキ・コバライネン/北川紗衣 組
2位には福永 修/齊田美早子 組(シュコダ ファビア ラリー2 エボ)が入り、JNクラス3位(総合4位)には唯一のFFマシンで奮闘した新井/毛利 組が前日からのポジションを見事にキープ。輸入車勢がポディウムを占める結果となった。

●福永 修/齊田美早子 組(シュコダ ファビア ラリー2 エボ)は2位を獲得

●JN1クラス3位の新井大輝/毛利太哉 組(プジョー 208 ラリー4)
総合3位に入った奴田原文雄/東 駿吾 組(トヨタ GRヤリス)は、堅実な走りでJN2クラス優勝。SS7でステージベストを奪った山田/藤井 組は前日の4位から2ポジションアップし、クラス2位でフィニッシュしている。トップ争いが注目されたJN3クラスは、竹内/木村 組のスバル BRZが山本/立久井 組(トヨタ GR86)の追撃をかわし、今季初優勝をはたした。
■長野五輪のヒーローがJRC参戦!
このラリーには、1998年長野オリンピックの金メダリスト、元スピードスケート選手の清水宏保もドライバーとしてエントリーし注目を浴びた。清水はこれまでTGR(トヨタGAZOOレーシング)ラリーチャレンジには参加していたものの、JRCは今回が初参戦。トヨタ ヤリスのCVT車でJN5クラスにエントリーした。

●清水宏保/美野友紀 組はトヨタ ヤリスのCVT車でJN5クラスにエントリー
スタートから順調にステージをこなしていた清水だったが、デイ1のSS5でステージ上に停車していたクルマを避けるときに、前輪のホイールが変形するほどのアクシデントを起こしてしまう。直後にステージ上でタイヤ交換を行ったため、15分ものタイムロスを喫してしまった。しかしこのタイヤ交換のおかげもあり、トラブルは最低限に収まり見事にラリーをフィニッシュ。初のJRCを見事に完走した。
「昨日は手痛いミスでタイムを失ってしまいましたが、(コ・ドライバーの)美野さんの好判断もありなんとか完走できました。

●フィニッシュ後は悔しそうな表情も見せていた清水宏保。JRC初戦はクラス11位で完走する
ターマック連戦が終わり、次戦からJRCは北海道へ渡る。カムイ、ラリー北海道とグラベルが2戦続き、最終戦ハイランド(岐阜)で再びターマックに戻る。グラベルがあまり得意ではないと言っているコバライネン/北川 組だが、選手権リーダーを守れるかに注目だ。最速コバライネン+ファビアにストップをかけるクルーは、はたして現れるのだろうか。新型車投入が遅れたスバル勢の参戦はどうなるのか。JRCの今シーズンの行方から目が離せなさそうだ。
<写真=山本佳吾 文=青山朋弘>
