「今回みなさんに説明する技術屋には、90%まではしゃべってもいいよと伝えています。みなさんからの質問によっては90を超えちゃうかもしれませんが(笑)」(中嶋氏)。写真撮影、録音は禁じられ、しかもメモを取るヒマもないほどの情報量。ひとまず今回は、頭の中に残ったものから厳選してお伝えする。
■全固体電池は2027~28年に実用化…航続距離は約1200km!?
やはり注目はBEVにまつわる話。特にバッテリーに関しては、いくつも革新技術が提示された。そのなかには、もちろん全固体電池の実用化についての説明もあった。
【画像】公開された全固体電池ほか革新技術一覧
BEVの進化に欠かせないとされる全固体電池の実用化。トヨタも開発に取り組んでいたが、今回新情報が提示された。全固体電池は電解質が固体となるため、イオンの動きが速く、高電圧・高温への耐性がある。
電池の充放電で固体電解質が膨張と収縮を繰り返すなかで亀裂が生じ、イオンが正極と負極の間を通りにくくなることがあるからだ。トヨタはこの課題を克服する新技術を発見。どんな方法かは明らかにされなかったが…。今後はコストの課題を解決するべく開発に取り組んでいくという。
どんな性能をもたらすのか? まず2026年に次世代BEVをレクサスから投入すると公言しているトヨタだが、その車両には航続距離1000kmを実現する次世代のパフォーマンス版リチウムイオン電池が搭載される。1000kmでもかなりのインパクトだが、全固体電池ではそのパフォーマンス版電池と比較して航続距離20%向上を実現! つまり、単純計算で1200kmを達成する見込みだ。さらに、急速充電時間は10分以下(充電率10%→80%)を目標に開発を進めている。
それだけにとどまらず、先を見据えてもう一段レベルアップした全固体電池も同時に研究開発中。それは、パフォーマンス版電池と比べてなんと航続距離50%向上するという。もちろんこれらの進化は、電池のコンパクト化による車体側の空力アップや軽量化など電池の進化分以外の効率向上を含んでいる。
なお、2021年に「全固体電池導入はHVから」と説明していたトヨタ。
いずれにせよ、遠くない未来に全固体電池がやってくる。各社がどんなBEVを開発して市場投入するのかワクワクしてきた!
〈文=ドライバーWeb編集部〉