小学生の頃、学校からもらうプリントに、よくこんなことが書いてあった。紫外線が皮膚に当たるとビタミンDができる。
でも最近は違う。「なるべく日光に当たらないように」なんて広告もよく見るようになった。(独)国立健康・栄養研究所の石見先生によると、オゾン層の破壊が進み、紫外線が皮膚がんや白内障の発生に影響することが明らかになったからだという。
しかし、日光に当たらなくて、ビタミンDは足りるのか。ビタミンDは食品からも取れる。厚生労働省の資料によると、ビタミンDの1日の摂取目安量(成人)は5μg(マイクログラム)。これに対して日本人の平均摂取量が7.9μg。なんだ、普通に食事をしていれば足りるんだ。
「いいえ。骨粗しょう症予防の観点から、特に高齢者では1日に20~25μgのビタミンDが必要だと言われています」(石見先生)
体内のビタミンDの半分以上は日光から作られているという。
「冬は特に厚化粧などは控えた方がよいでしょう」(同)
石見先生によると、近年赤ちゃんのビタミンD欠乏が増えているという。妊婦さんがビタミンD不足になりがちだからだそうだ。直射日光を嫌う若い女性が増えているが、やはり、ある程度は太陽に当たっておく必要がありそう。
少し心配なのは、紫外線による皮膚がん。大塚製薬教育部の永田さんに聞いた。
「白人には多いのですが、日本人に特に皮膚がんが多いとは聞きません。個人的にはそれほど心配しなくてもよいと思います。さらに、最近の論文では、もっとたくさんのビタミンDを取るべきだと言われます。取り過ぎの危険性も薄らいでいますし」
永田さんから紹介された論文を読んでみた。ビタミンDをたくさん取ることで、がん(乳がん、大腸がんなど)や感染症のリスクが下がることが分かってきたという。
ビキニ姿の成人白人女性が夏に20分間日光浴するだけで、皮膚で約250μgのビタミンDが作られるという。これは食事から取る量の1カ月分にあたる。日光の力、偉大なり。今も昔も変わらず、ビタミンDのためには日光が必要なようです。
(R&S)
・(独)国立健康・栄養研究所HP