韓国には、釜でごはんを炊いた後、底に残ったおこげにお湯を加えてふやかして飲む、「スンニュン」という飲み物がある。普通の定食屋などに行けば、お茶のような位置づけで登場、庶民の懐かしの味として親しまれるところとなっている。


ところでこのスンニュン、日本人の私にとっては「お米フレーバーのお湯」ぐらいにしか感じられず、最初はどうも苦手だった。具も味もないお茶漬けを食べているような気になるのだ。
むしろただのお湯の方がすっきりするのに……と思っていたのだが、飲み慣れるにつれて、そのほのかな香ばしさが、なぜか恋しくなってきた。つかめそうでつかめない幽玄の味、とでも言おうか。また、辛いものを食べた後に飲めば、口もお腹もすっきりする。

原材料はお米とお湯だけ、というシンプル極まりない食品に関わらず、インスタント食品やペットボトルのスンニュンが、わざわざスーパーやコンビニで売られていて興味深い。

オットギの『昔の香ばしいヌルンジ』は、お米のおこげを乾燥させたもの(韓国語でヌルンジ)が、そのままカップに入った商品。2004年11月から販売される人気商品だ。原材料はお米99.9%。これにお湯を注ぎ3分待てば、食堂の味そのままのスンニュンが楽しめる。こちらの商品はお米が多いので、飲み物というよりおかゆとして食べる。

ペットボトルに詰められたスンニュンは、食堂や家庭で飲むものとは違い、コールドドリンクである。
いくつか飲み比べしてみた。
ホヨンダンの『香ばし~い米スンニュン』は、冷たいにも関わらず、まさに韓国の食堂で飲むスンニュンそのままの味。昔は苦手だった、でも今は愛しい、ほのかなお米テイストが楽しめた。
ファミリーマートの『釜ヌルンジ茶』は、よりあっさりした都会的な味で、伝統飲料というよりライスフレーバードリンクという表現がぴったりくるかもしれない。通勤途中にお茶感覚で飲めそうだ。

ウンジンが今年4月に発売した『五穀ヌルンジ茶』は、他のスンニュンドリンクとは違い、普通の白米ではなく、五穀米を使用。
複雑な香ばしさがあり、味も他の製品に比べしっかりしており、よりお茶に近い味わいとなっている。
「よく売れていますよ。家で飲む一般的なスンニュンとは、やはり五穀米を使っていることが大きな差。やわらかですっきり飲める味となっています」とウンジンの広報担当は話す。

どの製品も0カロリードリンクとして、健康ブームの韓国で再び注目をあびつつある。「インスタントおこげ湯」及び「おこげドリンク」、未体験の味をお土産にいかがですか?
(清水2000)