百貨店で服を買ったり、大きな買い物をすると、店員はまず電卓を使って計算して、代金を見せてくれることが多い。
レジが遠いときやレジが1つしかないときの代用、また時間短縮のためによくある光景だ。


でもレジで精算してるのに、しかもレジが空いてるのに、とりあえず電卓に打ち込んだ値段を見せてくれることがある。そして直後、同じ計算がレジで行われる。そんなとき、電卓を使う意味はあったの? なんて思ったりする。

どうしてレジにいても、わざわざ電卓を使うんだろう。大手百貨店に話を伺った。

「店によって目的は違うかと思いますが、百貨店のカードや優待を使った値引き、送料、服のお直しなど、さまざまな割引や追加があるためということが多いかと思います。
そのうえで計算がないときも、レジで精算する前の最終確認として、代金をお客様にお見せしているのではないでしょうか」
最終確認をするっていう、丁寧な接客をしようって考え方。マニュアル的かもしれないけど、トラブルを防ぐ、ブランドイメージを上げるっていう目的が大きそうだ。

ところで、これってずっと昔からやってることなんだろうか。
「20年前の消費税導入が、多くの店員が電卓を持つようになったひとつのきっかけだったと思います。表示されていた商品の価格に、消費税(当時3%)を上乗せする形だったため、精算前に税込金額をお伝えしていたと記憶しています。3%というのは、結構計算がしづらいですからね」

消費税が導入された1989年4月の新聞記事には、いくつかの百貨店で大量の電卓が用意されたことが書かれている。
三越で2万6千台、高島屋で3万台。消費税を理解してないお客さんからの「こんな値段じゃないはずだ!」みたいなクレームを防ぐためだ。レジでの精算前に、電卓で計算した税込金額を伝えて、トラブルを未然に防ごうとしていた。
その名残というか、使い勝手の良さもあって、総額表示で消費税を計算する必要がなくなった今も、電卓は使われ続けてる。

ちなみに消費税導入前から電卓を使う人はいたけど、今ほど多くなかったんだとか。
「今は100円でも買えますけど、昔はそれなりに高価なものでしたからね」

今は、電卓を百貨店が支給してるわけじゃなく、店や店員がおのおので買ってることが多い。
電卓にもセンスが出るから、選ぶのもひと苦労だという。

いろんな計算があって、店では電卓が存在してるみたいです。
(イチカワ)