以前、コネタで「チャーハンと餃子」に関する日本と中国との違いを書いたが、さらに「日本人の食べ方、注文の仕方」にも特徴があると聞く。

「日本人は、本当に焼きそばとチャーハンが好きだよね」と話すのは、港区の有名中華料理店の料理長の中国人男性。


「珍しい食材などをたくさん使ったコース料理を出すと、『チャーハンがない』『焼きそばがない』とよく言われます。ボリューム的にはもう十分満腹のはずなのに、デザートが出てくると『あれ? チャーハンがまだきてないよ』と言われる。たっぷりいろんな料理を食べて、もう食べられないぐらいだと思うのに、デザートが出ると、『チャーハンか焼きそばを忘れられた』と思うらしいんです」

この傾向は、これまでも別の中国の女性などに聞いていたことだが、確かに、自分自身もやっぱり、散々飲み・食べた後でも、やっぱり「ご飯モノか麺でしめないと」と、つい心のどこかで「チャーハン OR 焼きそば待ち」をしてしまう。

また、コースのなかでいろいろあっても、「定番料理」を食べたがる人が多いという。

「こちらではいろいろ珍しい食材・料理をお出ししているのですが、やっぱり麻婆豆腐、エビチリなど、定番メニューがないと……という人は多いです。麻婆豆腐だけ単品で追加注文する人などもいますよ」
満腹具合ではなく、「中華料理の店で○○を食べないと、食べた気がしない」という心境なのか。


ちなみに、ある有名なスポーツ選手が来店した際、メニューにない「冷やし中華が食べたい」と言われ、特別に作ったそうだが、
「もちろん中国にはありません」

さらに、独特だと指摘するのは、「あんかけが、なぜかやたらと好きなこと」。
「日本人は、本当にあんかけ好きですね。焼きそばでも、チャーハンでも、丼でも、なんでもあんかけを欲しがります」

また、これはわりとよく知られている話だが、中国ではレンゲを使うのは「スープ」「麺類のスープ」などのとき。チャーハンなどは箸で食べるため、
「日本では、レンゲの上でミニチャーハンを作って食べるので、驚きました」という指摘だった(※中国では、日本のようなレンゲでなく、浅めのレンゲを使うケースもある)。

中国発祥であっても、日本風に上手にアレンジされ、日本人向けに、より美味しい・食べやすいものになっている場合もあるわけで、これらは決して悪いことではないけれど……。

定番料理はもちろん美味しい。
麻婆豆腐もエビチリも焼きそばもチャーハンもやっぱり欲しいところだけれど、たまには「冒険」してみませんか。
(田幸和歌子)