小さな庭で家庭菜園をはじめてから、私の悩みの上位は常に「ナメクジ」「ダンゴムシ」そして「アブラムシ」の存在になった。以前のコネタ「ナメクジはどのビールを好むのか?」でも触れたが、なるべく薬剤を使いたくないと思っているので、日々戦いなのである。


この春も、栽培していたソラマメにびっしりとアブラムシがついてしまった。薄めた牛乳を霧吹きでかけたり、木酢液(もくさくえき)をかけたりと、アブラムシ駆除に効果的と言われている方法はほぼ試し、毎日1回アブラムシをティッシュで取り除いたりもしていたのだが、いったいどこからやってくるのか翌朝になると、彼らはまたびっしりぎっしり付いている。どうにもこうにもアブラムシの増殖はとまらないのである。

そんなある日、テントウムシが毎日アブラムシを食べて生活しているということを知った。以来テントウムシを見つけたらそっとソラマメの方に運ぶなどの地味な努力をし、なんとか無事に収穫することができたものの、今度はカモマイルがターゲットになり、相変わらず私は毎朝ティッシュを片手にアブラムシを駆除しているのだった。

さすがにアブラムシがついていたカモマイルをハーブティーにする気持ちにはなれないので、庭のカモマイルは観賞用と思うことにしてやり過ごしていたが、ある日、とてもキレイなカモマイルの鉢をプレゼントでいただいた。
こればかりはアブラムシの餌食にしてはならない!と、家の中で育てることに決めた。

何事もなく平和に半月ばかりが過ぎたある日、鉢のカモマイルに、見慣れた「なんかプツっとしたもの」を発見。目を疑ったが、それは紛れもなくアブラムシ……。家の中なのにいったい何故!?

すぐさま取り除いたが、数日後にはアブラムシでびっしりのカモマイルになってしまった。
こんなに気をつけていたのに、どうやって彼らは家の中に侵入したのだろう?

どうにも気になったのでアブラムシの本を数冊読んでみたところ、驚くべきことに、彼らは数が増えて群れが混んでくると(いわゆる“びっしり状態”になると)、突然羽を持った個体が出現して新しい場所に旅立つのだということがわかった(参考文献『アブラムシと天敵たち-食べるものと食べられるもの-』有賀文章著/大日本図書)。よくよく見てみると、たしかに羽の生えたアブラムシがいた。
きっと、庭のカモマイルから飛び立ち、何かの拍子に家の中に入ってしまい、窓辺に置いていた鉢のカモマイルを見つけてこれ幸いと着陸し、繁殖したのだろう。

また、普通生物は雄と雌がいて卵または子どもを産むものだが、アブラムシは春~秋にかけては雌だけでどんどん幼虫を産むため(秋になると雄と雌が受精して卵を産む)、驚異の繁殖力を持っているのだそう。

あっという間に増えてはガーデナーを悩ませるアブラムシだが、まさか羽まで生えていたなんて……。個人的には牛乳よりも木酢液よりも、テントウムシに食べてもらいつつ1日1回ティッシュで取り除くのがいちばん効果があった気がするが、どうにも大変すぎるので、来年は「テントウムシ作戦」に加えて、黄色い粘着テープを周辺に貼る(アブラムシは黄色に集まる習性があるそう)というのも試してみようと思っています。
(磯谷佳江/studio woofoo)

参考文献:『アブラムシと天敵たち-食べるものと食べられるもの-』(有賀文章著/大日本図書)※絶版