この活動は「ビブリオバトル」と呼ばれており、お互いに読んだ本をプレゼンし合い、「誰が紹介した本を一番読みたいと思ったか」ということを基準にチャンピオン(チャンプ本)を決定するという、知的かつスリリングな戦いである。
先日、京都某所のとあるカフェでこのビブリオバトルが開催されていることを耳にし、本を片手に参加してみた。
参加者は6人。一見すると普通にお茶しにきたヤングピープルと変わらないが、よく見るとテーブルにはカメラとキッチンタイマーが置かれている。発表者はカメラの前に座り、自分が持ってきた本を紹介する。制限時間は5分。実にシンプルなルールだが、やってみると人によって発表の仕方が色々でおもしろい。
ちなみに筆者はさくらももこのエッセイ『そういうふうにできている』を紹介してみた。下ネタを交えたためにひんしゅくを買い、またラスト30秒がグダグダになったが、結果的に2票をいただくことができた。ちなみに今回の「チャンプ本」は、『銃・病原菌・鉄―1万3000年にわたる人類史の謎』だった。
このビブリオバトル、発祥の地は京都大学のとある研究室らしい。考案者で現在は立命館大学助教の谷口忠大氏いわく、「もともと、ひとつの本を皆で読みあって勉強する“輪読会”というのが大学の研究室ではよくあったんですが、面白くない本を輪読すると最悪で……(笑)。いろんな本をドンドン持ちよって紹介しあうことで、みんなにとって面白い本と知識にたどり着けるのではないかと思ったのです」とのこと。
当初はビデオ撮影もしていなかったのだが、記録のために撮影し、ついでに映像をYouTubeにアップしてみたところ、「なんかおもろい」と一部マニアの間で評判になり、各地でゲリラ的に開催されているのだそうだ。それに合わせて最近「ビブリオバトル普及委員会」が結成され、全国展開が本格化しているらしい。
ちなみに、これまでに「チャンプ本」に輝いた本(一部)はこんな感じだそうだ。
・『火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者』
・『さらば財務省!―官僚すべてを敵にした男の告白』
・『最後の授業―ぼくの命があるうちに』
・『映画の四日間 中島貞夫映画ゼミナール』
・『ウィキノミクス―マスコラボレーションによる開発・生産の世紀へ』
・『ヨーロッパの舌はどう変わったか』
・『生物と無生物のあいだ』
・『ムダヅモ無き改革』
最後の『ムダヅモ無き改革』はマンガ本であるが、「発表者が感銘を受けた本であればジャンルは問わない」とのこと。新聞を紹介した人もいるのだとか。
プレゼンの動画は、「ビブリオバトル」で検索すると大量に出てくる。見ればきっとプレゼンしたくなるはず。
(珍満軒/studio woofoo)