もう4月も目前の、この時期。動物も冬眠から覚めようかという、このタイミング。

だからと言っていいのか、3月6日を皮切りにカエルのイベントが3連続で開催されるらしいのだ。

これは、足立善立寺(東京・足立区)が主催し、カエルグッズの収集及び研究を行っている「100年カエル館」が企画協力して行われるもの。

では、どんなイベントがあるのか?
まず3月6日から4月18日までは、展示イベント「カエル民芸の世界」展を開催。これは、100年カエル館で展示されているコレクションを展示。それを見ることで、アジアのカエルの世界観を知ることができる。
そして、3月28日には「アジア・信仰・カエルキャラクター」というシンポジウムが。
ここでは、地球の長い歴史の中でカエルは人とどんな関係を築いてきたのか、パネリストである『ケロロ軍曹』の声優、考古学者、カエルに関心の高い住職たちがディスカッション。様々な視点から面白い話がピョンピョン飛び出す予定である。
最後は、4月18日に開かれる「善立寺・寄席」。ここでは、林家正楽師匠によるカエルの紙切りが見られる。そもそも落語には、枕にカエルが出てきたり、話の中に“ガマの油売り”が出てきたり、なぜかカエルとゆかりが深い。落語によって、人間の生活とカエルにどういう関わりがあるか知ってもらおう、という試みが控えているのだ。


これらのイベント、全てが善立寺で開催されるらしい。そこで、総合プロデューサーである善立寺住職、新倉典生さんにこれらのイベントを主催したキッカケについて伺ってみた。
「お寺は今では法事などの時にのみ利用されるイメージがありますが、元々は“文化を広める”役目を担う場所でもありました。寺子屋がそうであったように、身近にあっていろいろなことが学べる場だったと思うんです」

「今回は、カエルをテーマにした民芸の世界を展示で伝えるだけでなく、シンポジウムや寄席も開催し、改めてお寺と落語とカエルが、いずれも人々の暮らしの身近にあることを感じていただきたいと思っています」

事実、今でも『ケロロ軍曹』だったり『けろけろけろっぴ』だったり、カエルに親しみを持っている、我ら人間たち。知らず知らずのうちにカエルを信仰の対象としていたことに気づかされる。それなのに人間とカエルがどうしてこんなに親しいのかは、深く研究されていないのだ。

そんな“研究分野・未開の地”とも言える、カエルと人間の関係から生まれる文化について踏み込む、画期的な第1歩が今回。

たとえば、3月28日に行われるシンポジウム「アジア・信仰・カエルキャラクター」では、『ケロロ軍曹』でケロロの声を務めた声優の渡辺久美子さんも出席するのだが、どんな心境でカエルの役を演じたのかが全く想像がつかない。その辺も、お話いただける。そして、仏教の立場からカエルについてトークする住職たち。極めつけは、考古学的立場に立った奈良芸術短期大学教授・前園実知雄氏による貴重なカエル解説も。よくも、ここまでカエルに踏み込んでみせるものだ。

見逃せない、イベント3連発である。
(寺西ジャジューカ)