銀行ATMで現金を引き出す際、「ピーピー!」とか「ピンポーン、お取り忘れにご注意ください! ピンポーン、お取り忘れにご注意ください!」なんて警告音が鳴り、慌ててしまった……という経験はないだろうか。

「まだ現金も財布にしまってないのに……」などと思いつつも、音に急かされ、裸のままのお金を手にしたまま、ATM前を離れて隅のほうに移動するというのが、小心者の自分のパターンだ。


現金を裸のまま持って移動するのは、防犯上どうかと思うのだが、やっぱり「音」にはどうしても焦りを感じてしまう。しかも、場所によっては、かなり大きな音だったりもするから、余計に焦る。

ところで、以前は、紙幣が取り出し口に残っていて、数秒経ってから「お取り忘れはありませんか」などのアナウンス・警告音があったように思う。
でも、最近は、まだキャッシュカードを受け取り、紙幣に手を伸ばしたぐらいのタイミングから、しきりに警告音が鳴るATMもある。

この警告音のタイミング、いつの間にか早くなっていませんか。どういう設定なの?
ATMのメーカー・日立オムロンターミナルソリューションズに聞いてみた。


「忘れ物などの警告音は、銀行さんによります。1つの銀行さんでも各メーカーのATMが入っている可能性があり、それぞれ時間や音などの標準的なものはメーカーごとにあると思いますが、基本的には銀行さんで決めているはずですよ」

そこで、ある銀行に聞いてみたところ、
「ATMはいろいろなメーカーのものがあり、当行では4~5種類を設置していますが、設定はそれぞれのATMコーナーで行っています。また、特に警告音が早くなったということは聞いておりません」という回答だった。

だが、別の銀行にも聞いたところ、こんな回答をもらった。
「ATMの警告音は、基本的にATMコーナーごとに統括・設定しておりますが、確かに、近年は短い時間で鳴るよう設定している傾向がありますね。やはりどうしてもお忘れ物が大変多くなっておりまして……。
お年寄りなどのご利用も多いので、音もより大きくしているところもあります」
忘れ物としては、意外とあるのが、「通帳(カード)ばかり気にして、現金を取り忘れるケース」や「カードと現金だけを受け取り、通帳をとり忘れるケース」などで、さらに「数千円(あるいは数万円)引き出して、そのうち1枚(あるいは何枚か)取り残してしまう」なんてこともあるそうだ。

取り忘れると、一定時間の後、ATMのフタが閉まって回収され、連絡がくる(あるいはもとの口座に戻される)という場合もあるようだが、次に並んでいた人が取り忘れのお金を盗んだというニュースも、そういえば、新聞で見かけることがある。

早々に大きな音で鳴らされると、つい焦ってしまうけれど、取り忘れの多さから、対策として強化されてきている「警告音」の大きさとタイミングの早さ。
音に焦らず、再度見直しのきっかけとして考え、忘れ物には十分注意したいところです。
(田幸和歌子)