季節は夏。枝豆の美味しい季節がやってきた。


八百屋やスーパーの棚を枝豆が賑わす中、時々見かけるレアな枝豆がある。
その名も“茶豆”。見た目は普通の枝豆にそっくりなのだが味が全然違うと、着実にファンを増やしている豆なのだとか。

そもそも枝豆の正体は大豆。完熟すれば穀物の大豆として利用される豆の、未熟果を収穫したものが枝豆だ。
種類も普通の枝豆の他に、黒い色が面白い“黒枝豆”、サヤ全体がこんもり産毛に覆われた“毛豆”など、案外豊富。
枝豆の旬は夏と思いがちだが、実は9月以降が旬の物も多いという。

そして今回取り上げる茶豆、これも各地で栽培されている枝豆の一種。
新潟で茶豆栽培に関わる農家さんに話を聞いたところ、茶豆は新潟でも長い間栽培されていた品種で、もともとは山形の“だだちゃ豆”がルーツといわれているそう。

特徴はサヤと豆の間にある薄皮が茶色いこと。香りも甘味も、普通の枝豆に比べるとずっと強いという。
新潟では明治末期から栽培の歴史があり、なかなか歴史深い。
かつては門外不出といわれていた時期もあるとか。
流通のよくなった今でこそ全国で販売されているものの、多収穫の品種ではないので枝豆のようにどこでも買える、というわけにはいかない。同じ理由で少しだけお値段高めになってしまうのも、茶豆の特徴だ。

新潟では7月下旬からお盆過ぎまでが旬と、普通の枝豆よりはちょっとだけ遅め。
それに枝豆はサヤいっぱいに実が詰まった実入りのいい状態で収穫するが、茶豆は実が詰まりきるまでに収穫する。茶豆の特徴である糖分やアミノ酸がたっぷり詰まった状態で収穫するため、だそうだ。


おすすめの食べ方は、やっぱり湯がいて食べること。
茹で方は普通の枝豆と変わらない。もちろん料理にも使えるが、あれこれ味を付けるよりもその素材の味だけを楽しむのがおすすめ。
実際に購入してみると、見た目は確かに枝豆に似ている。中身も茶色の豆などではなく、ツヤヤカな翡翠色だ。
湯がくと鮮やかな緑色で、部屋の中に甘い香りが広がる。

その味といえばプチプチとした食感で、非常に甘味が強い。この味わい、まるでスイートコーンのような甘さなのだ。

暑い日はビールと枝豆が夏のスタンダード。今年はちょっと贅沢して、茶豆はいかがでしょう。
(のなかなおみ)