仕事中に何の予告もなくバツン! と家中の電気が落ちて、目の前のモニタが真っ暗、書きかけの原稿もロスト! 関東地方では、しばらく計画停電が続く予定です。なくなって初めてわかる電気のありがたさ。
被災地の生活を思うと、少しでも節電に励みたいところですね。
そんな中、節電をゲーム化したサイトが登場しました。それが節電ゲーム「#denkimeter」です。

用意するものはtwitterのアカウントだけ。すでにtwitterを始めている方なら、自分のタイムラインをチェックしてみてください。「ちっ、戦闘力0か、ゴミめ……オレの星の感覚で言えばミジンコと同程度だな……」なんて意味不明なツイートが流れてきたり、しませんか? これ、#denkimeterに参加しているユーザーなんです。


そんなツイートなんて、ないよーという人も、ハッシュタグ「#denkimeter」で検索すれば、ずらずらーっと表示されること、間違いなし。全国で熱い節電バトルが繰り広げられています。3月18日前後からサービスが始まり、あっという間に各ニュースサイトで取り上げられて、前述のようなツイートが急増しました。

#denkimeterの内容を簡単に説明すると、家庭にある電気メーターの数値を計測して、電気の使用量を競うというもの。電気メーターの差分から時間ごとの消費量を計算し、公式サイトに入力すると、計算式で変換されて戦闘力が表示されます。これをtwitterでツイートして、みんなで競うという仕組み。
もちろん使用量が少ないほど、戦闘力が高まるのは、言うまでもありません。あ、自己申告なので、ズルはいけませんよ!

ゲームデザインは国際大学GLOCOMでゲーム研究を行う井上明人さん。テレビで震災のニュースを見て、節電しなくちゃなーと思いながら、家にあるゲーム機の消費電力を調べてみたのが発端だったとのこと。電気消費量の変化をツイートしながら、ネットで関連資料を収集。知り合いでフリーランスの開発者、田端秀輝さんにプログラムを依頼したところ、二つ返事で実現。短期間で最初のバージョンが完成しました。


詳しい遊び方や、ツイートの書式については、公式サイトに説明があるので、そちらを参考にしてくださいね。「電気料金ではなくて、電気の使用量を入力する」「電気の使用量は、自分で電気メーターの値を見て、計測する」「時間をおいて計測し、差分から時間あたりの使用量を計算して、入力する」この3点に気をつければOKです。一人で遊ぶだけじゃなくて、対戦プレイするための公式ルールも用意されています。

あ、オール電化の方は、チェックボックスをオンにするのを、忘れないでくださいね。そうしないと「ゴミめ!」と罵倒されること必至ですから。

僕も最初に遊んだ時は、うっかり月額の電気料金を入力しちゃって、当然のように「戦闘力ゼロ」判定を食らってしまい、ちょっとヘコンでしまったことも……。
ま、それ以後もなかなか戦闘力が上がらず、節電を心がけさせられています、はい。

ちなみに、ある程度ゲームを継続していくと、だんだん我が家の電気消費量の推移がわかってきて、なかなかおもしろいですよ。昼より夜の方が消費量が増えるんだナーとか、消費電力が少ない器具でも長時間使っていると、ボディブローのように効くナーとか。部屋に引きこもって仕事をしていると、パソコン+エアコン+テレビそしてゲーム機の併用で、ムダに電気を使っちゃうんだナーとか。いろいろ勉強になります、はい。

この#denkimeter、現在も改良が進んでいて、3月22日現在でバージョン2.1βとなっています。
田端さんによると、予想外のスピードで広がった反面、「楽しくデータをとり続けてもらう」ためのアイディア実装が追いつかず、心苦しく思っているとのことでした。数字の変化をわかりやすく、楽しく感じられるようなネタも仕込み中とか。twitterで@denkimeterをフォローすると、最新情報が得られるそうです。

一方井上さんも「この1週間はノリで作った。そろそろ息切れ中……」などと漏らしつつも、入力フォームを改善して、もっとシンプルでわかりやくしたい、と抱負を語ってくれました。iPhoneアプリで遊べたりすると、もっと嬉しいんだけど、どうでしょうね?

もっとも、家庭の電力消費量を可視化するなどのサービスや商品開発は、すでに始まっていたりします。
NECとBIGLOBEは家庭内の省電力対策を支援する「みんなでカーボンダイエット」のトライアルを09年に実施。富士通コンポーネントは1W単位で消費電力を検出できる電源タップ「スマートコンセント」を4月に発売開始する計画です。Yahoo!のトップページには、東京電力の電力使用状況グラフも配置。その先にはスマートメーターやスマートグリッドといった、さらに大きな試みも控えています。

 もっとも、こういったサービスや商品はみんな「お堅い」んですよね。#denkimeterみたいなアプリケーションがセットになって、誰もが気軽に参加でき、楽しめるものになっていけばいいなあ、なんて思っちゃいました。それまでの間、ぜひ#denkimeterをみんなで流行らせて、節電に勤しんじゃいましょう。(小野憲史)