先日の記事では鉄腕アトムの話題があがっていましたが、30代・40代オタクだと「懐かしのアニメ」っていっぱいありますよね。ハイジ! ガンダム! あしたのジョー!
中でも懐かしアニメで「永井豪作品」を挙げる人は多いと思います。
キューティーハニー、マジンガーZ、デビルマンなどなど。
さて、現在そんな永井豪作品の一つがリメイクされて放映されています。タイトルは「Dororonえん魔くんメ~ラめら」
1973年に放映された「ドロロンえん魔くん」といえば多くの人がぺちゃくちゃしゃべる帽子の「シャポーじい」とえん魔くんのアクションにワクワクしたり、ぱんつはいてないガールフレンドの雪女のエロスにドキドキした人も多いのではないでしょうか。TVアニメとしては実に38年ぶりのリメイク(2006年に「鬼公子炎魔」というOVAはでています)という驚き。

そもそも「ドロロンえん魔くん」って子供向けのイメージあるじゃないですか。
なのに放映しているのはなぜか深夜。
それはなぜか? ズバリ言いましょう。
この作品、30代・40代以上のためのアニメだからです。
「ふーん、ドロロンえん魔くんのリメイクねー」くらいに思っているそこのあなた! そちらのお父さん、あなたが見るべきアニメですよ!
 
・ポイントその1・物語がない!
ぶっちゃけ「Dororonえん魔くんメ~ラめら」にはストーリーは存在しません。
一応妖怪退治という大枠はありますが、それが作品の目的ではありません。そんなもん大義名分です。

じゃあ何を見せたいかと言うとギャグですよ。
永井豪原作の「ドロロンえん魔くん」はそもそもギャグマンガです。派手なシーン、お色気、そしておゲレツなギャグというコンビネーションで不条理なことをバッサバッサと、最新の技術の無駄遣いでやってくれるからいいんです。。
今の漫画とコマ割りやテンポ自体が違うので、逆にストーリー無しでアニメ化するのってすごく難しいんですが、ある意味原作に忠実すぎるくらい忠実にやっています。
出来上がった結果は、「天才バカボン」のようなノリの、不条理系ギャグアクションお色気妖怪退治……ああもう、詰め込めるだけ詰め込んだよ!って作品になってます。

突然意味のわからないキャラが出てきてベタベタなギャグをやって、オチも無く去る。うん!このテンション……昔のギャグマンガだ!
そんなわけで、何話目から見ても大丈夫!
 
・ポイントその2・昭和ネタ盛り込みすぎ
第一話の冒頭から、昭和ネタがこれでもかというくらい盛り込まれていて、今21世紀なの忘れてしまいます。
「オイルショックでトイレットペーパーがない」というネタなんて誰得なんだろう?と思いましたが、考えてみたら「えん魔くん」初代が放送された年はまさにオイルショック全盛期でした。
銭湯のビン牛乳30円、「エマニエル夫人」のポスター、「キンチョー」の鉄看板、駄菓子屋に貸本屋に水汲みポンプ……ああ懐かしき日本。
チンチン電車が走り、洗濯機は脱水槽すらなくて絞り器が付いていて、テレビはお金持ちだとカラー、一般家庭はモノクロ。「カラー」の文字が左上にあるあれね!
「ドッチラケ」「わっかるかなー、わっかんねえだろうなー」「チョットだけよ」「○○じゃぁあーりませんか」「ダンスはうまく踊れない」「シェー!」「ダッダーンボヨヨンボヨヨン!」「ハッパフミフミ」など、懐かしのギャグも流れるように連発。

野球拳にゴーゴー、車の排気ガス問題にモノリスにスーパーカー。特定の時期ではなく「昭和」というイメージを濃縮したまま還元せずに入れたらこんなんなりました状態です。
もうあれでしょ、このアニメ「昭和ネタギャグ」の合間に妖怪退治やってるでしょう?!
特にドリフやクレイジーキャッツなどのお笑いネタが大好きな人なら必見。懐かしさのあまり笑いながら泣きそうになることまちがいなしです。
20代以下だと元ネタが分からないもの山のようにあると思いますが、その場合は「異世界のような昔の日本」を楽しめばOK!
 
・ポイントその3・お色気ウフン!
雪子姫でヰタ・セクスアリスしてしまった少年は多いと思います。
ファンとしてはおそらく一番気になるところだと思いますが、胸をはっていいましょう。
やりすぎなくらいお色気シーン満載です!
といっても卑猥というよりオゲレツというかオーモーレツ!というか。明るく楽しくエッチに楽しめますので、気軽に楽しめます。艶笑譚のように明るくエロいことをあっけらかんとやってオチ無し!というのが日本の文化にはありましたなあ。最近忘れられがちですがここ大事ネ。

・ポイントその4・永井豪ネタセルフパロディ
00年に掲載された漫画で、閻魔大王の姪が主役の「どろろん艶靡ちゃん」というスピンオフ作品がありました。「けっこう仮面」のようにつねにスッポンポンで、シモネタ楽屋ネタをやり続けるのですが、この艶靡ちゃんが主要キャラとして登場しています。

また、「デビルマン」の妖鳥シレーヌやマジンガーZネタ、はては細かいところだと「へんちんポコイダー」の単行本など、永井豪の細かすぎて伝わらないネタ満載になっています。
永井豪ファンなら「もう勘弁して」って笑い死ぬくらいにマニアックなので、要チェック。

・ポイントその5・音楽へのこだわり!
音楽担当はなんとムーンライダーズ。これだけでも面白いのですが、BGMの選曲がとにかくユニーク。
「老人と子供のポルカ」「ハチのムサシは死んだのさ」「ほんとにほんとにご苦労さん」「学生街の喫茶店」などなど、どう考えてもそれBGMにしないよね? というチョイスがされています。
「老人と子供のポルカ」がBGMになる映像なんて……寺山修司くらいしか観たことないですぼくは。カバーアルバムCDもでるので、注目!

作っているスタッフめちゃくちゃ楽しんでいるのがよーく分かる作品になっています。もちろん大事なアクションシーンは、さすが「ガオガイガー」をつくっていただけあって、ダイナミック。ゴルディオンハンマー。
ですが、シリアスシーンは昭和ネタオンパレードに圧倒されてしまっており、手に負えない怪作に仕上がっています。
「老若男女におすすめ」なんて言えません。中年以上の男性におすすめです。
難しい映画やアニメも大事ですが、たまには仕事から帰ってきて、内容の全くない懐かしギャグを、最新の技術で楽しむのはいかがでしょうか。
ちなみにBD・DVDは一枚で4話収録。深夜アニメは通常2から3話収録であるのを考えるといかにお得か分かると思います。これこそ「テレビまんが」ですな。今までの話を見そこねた人も、ニコニコ動画で配信しているので安心です。

え? ハレンチ? 
人間だものハレンチでいいじゃない! 少年時代に戻ったみたいに笑えまっせ。
(たまごまご)