たい焼きにそっくりな食べ物が、お隣韓国にもあるのをご存知だろうか。魚の形をしており、中にアンコが入ったお焼きは、韓国では「ふなパン(プンオパン)」と呼ばれ、代表的な屋台スイーツのひとつとなっている。

ところで最近、このたい焼き、いや、ふなパンがどんどん進化している。カスタードクリームやピザまん風の具など、変わった具で新しさをアピールするふなパンが多い中、チェーン店の「ハッピーソップンイ」が提案するふなパン「ソップンイ」(写真)は、特に目立っている。なんと具を食パンではさみ、パンの見た目はそのままに魚の形に焼き上げた、ホットサンドの形をとっているのだ。これは新しい……というかもはや、たい焼きとは全く別のところにいるのかもしれない。

ソップンイの開発の意図を同社にお聞きすると、「韓国式のふなパンと、韓国式のトーストを掛け合わせました」とのこと。
韓国式トーストとは、卵焼き、ハム、チーズ、キャベツなどの具を、砂糖とケチャップによる甘めのソースで味付け、食パンではさみ鉄板で焼き上げたもの。
おかず系のパンなのに砂糖がかかっているあたり、日本では馴染みのない味となっているが、慣れると毎朝食べたくなる、韓国の昔ながらの屋台フードである。

筆者がトライしたのは、スイートポテトが入ったソップンイ。見た目がたい焼きなのに、ひとくち噛むとパンの味がして、そのギャップが衝撃的だったが、ふたくちめは、たい焼きへの固定観念もすぐに消え去った。パンに挟まったほかほかのスイートポテトペーストが美味しくないはずはなく、一気に完食。
次に挑戦したのは「プルコギ」というもの。プルコギとは、日本のすき焼きのように肉を甘めに煮つめた料理であり、パンにプルコギって一体どうなんだろうと思ったが、こちらも予想外に美味しかった。
普通のプルコギがそのまま入っているのではなく、チーズがアクセントとなり味をまとめている。中央アジアにこんな料理がありそうだ(勝手な想像)。

ソップンイの具は他にも、小豆あん、かぼちゃ、ブルーベリージャムといったおやつ系から、ピザ、ツナ、ポテトサラダ、ソーセージ、クリームソースのおかず系があり、韓国的なものでは前述のプルコギの他、マンドゥ(韓国の餃子。この商品ではパン生地に肉やニラなどが詰まっている)、トッポッキ(餅をコチュジャンで甘辛く煮た、韓国の屋台フード)なんてレアなものも。同社によると、中でも人気があるのがピザとポテトサラダ、ツナだそう。
皮となるパンにも種類があり、ペストリー生地、リンゴパンの2種があるほか、新製品として、具を薄い餅の皮ではさみ焼き上げたふなパンもある。
この中にトッポッキの具をアレンジした場合、煮た餅を焼いた餅で包むという、餅好きの人にはたまらない一品になる。

ソップンイは昨年5月の誕生以来、店舗を続々と増やし、今は主要駅でその姿を見ることができる。 子供からお年寄りまで、特に若い女性にファンが多いとのことだ。
韓国料理の要素をこれでもかと詰め込んだ、お得感いっぱいの新しいふなパン。韓国旅行でみかけたら、ぜひ一度トライしてみてはいかがだろう。
(清水2000)