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主人公ユウタの立ち位置をけっこう変えている
――製作期間はどのくらい?
宇田 僕に話が来てからだと、大体3年半。
――アニメ映画としては長いのか、短いのかどっちなんでしょう。
宇田 東映アニメーションとしては長いですね。ほかの制作会社ではこのくらいのスパンが普通なんじゃないでしょうか。Production I.Gさんの「ももへの手紙」は7年ですからね。
――あー、そうかあ。東映アニメーションさんだと劇場版「プリキュア」は年に2回つくっていますけど、ものすごいスケジュールだと思います。「虹色ほたる」はどこに一番時間がかかりました?
宇田 シナリオに相当かかりました。映画と原作では主人公ユウタの立ち位置をけっこう変えているんです。そのためにエピソードを書き換えないといけないところも出てくる。果たしてそれで映画的に面白くなるのかどうか。
――たとえばどこのシーンでしょう。
宇田 原作とかなり変わっているのは、お祭りの前の晩にユウタと青天狗が話すシーン。あれは原作だと、青天狗が話す相手は幼馴染でテキ屋の伸太郎。その話をさえ子が聞いて、心変わりをする場面がある。
〈その障子の向こうで穏やかに語り合う二人のお爺さんの声。オレたちは、もうとっくに怖さなんてなくなっていたけど、、お互いに離れようともせず、その場でそのまま身体を寄せ合っていた。さえ子はまだ、ジッと一点を見つめたまま何かを考えているようだた。その顔は真剣で、思いつめているようで、ちょっと悲しそうでもあった……〉(