先週金曜日の読売新聞でも大きく取り上げられたこの事件。「ニューキャッスル」と言えば、テレビ番組やグルメ雑誌でも何度も取り上げられ、カレー好きなら一度は食べておきたいお店のひとつ。
ニューキャッスルがあるのは銀座二丁目。プランタン銀座や有楽町イトシアのすぐそばだ。そんな、一等地of一等地には正直似つかわしくないトタン囲いの外観なので、周りとのギャップですぐに目に留まった。閉店の理由が店舗の老朽化、というのも失礼ながら納得だ。
ところで、「ニューキャッスル」という店名、なんだか喫茶店っぽい、と思った方、正解! もともとこの店は珈琲店として開業されたのだ。
<柳田氏が、焼け跡の銀座二丁目並木通り横に店を構えたのが、昭和21年。当初は進駐軍から仕入れたコーヒーを商って押すな押すなの評判となったが、コーヒー屋の繁盛に疑問を感じでカレーを思いついたのが24、25年頃のこと。これがカレーライスの老舗「ニューキャッスル」のはじまりである。>
銀座の復興とともに歴史を刻んで来た、まさに「食の文化遺産」と言えるだろう。
店頭には「料理記者歴40年」でおなじみの岸朝子氏の記事が飾られていて期待感を増長してくれる。中に入ると、カウンター3席にテーブル席が4つ。お昼時を外し、15時に来店したためすぐに席に着くことが出来たが、切れ目なく来客があり、常連客が多いようで「お店、今月いっぱいなんだって?」「新聞読んだよ!」と口々に挨拶を交わしていた。
さあ、本題のカレーライスを頼もう。もとい、この店ではカレーライスではなく「辛来飯」という呼び名が正式名称だ。そして、ボリュームのランクも「大・中・小」などではなく、「蒲田・大森・大井・品川」という遊び心がある名称だ。
<うちのカレーにはへんてこな名前がついてるでしょ。大森とか大井とか。これはもう12、3年前、いやもう少し前でしたか、京浜東北線で横浜に行くとき電車の中で思いついたんです。
今日では当たり前の「食のカスタマイズ」の先駆けとも言えるのではないだろうか。
さて、注文した辛来飯・蒲田が「蒲田ぁ到着でーす」のかけ声とともにテーブルに届く。
この「少し物足りない感じ」が後を引いて、また来店したくなるんだろうか。といっても、あと1週間しかないんだけど、また食べることは出来るだろうか?
会計を済ませ、「また食べたいけど今月中にもう一回来られるかわからないです。」と女将さんに伝えてみた。すると、「皆さんにそう言って頂いてありがたいです。でも、うちの孫だけは、『僕はじいじにいつでも作ってもらえるもんねー』って言ってるんですけどね」とにこやかに答えてくれた。お孫さん、羨ましすぎです!
(オグマナオト)
【ニューキャッスル】
東京都中央区銀座2-3-1
(平日)午前11時~午後9時、(土曜)午前11時~午後5時、日祝休み
・辛来飯(蒲田)740円・辛来飯(大森)630円・辛来飯(大井)530円・辛来飯(大森)480円