自分の“だらしないエピソード”を晒しているみたいで気恥ずかしいのだけど、よくリモコンをなくすんです。テレビにしろ、ステレオにしろ、エアコンにしろ、すぐ行方不明に。
本体のボタンをイジれば……と思いきや、リモコンでしかできない操作とかもあるじゃないですか。もう、右往左往状態。

しかし、もう大丈夫。素晴らしい、未来の新アイテムを見つけましたよ。rti技研が開発した『フューチャー ホーム コントローラー』は、声で家電を命令できる新装置であります。
例えばですね、装置に向かって「コンピュータ、電気消して!」と発すると、本当に電気が消えてしまったり。
「コンピュータ、テレビ点けて!」と言ったら、テレビがパチっとONになったり。

これ、原理が不思議ですよね。ざっくり言うと、こうです。音声をマイクがキャッチし、そのデータを箱型の装置が解析。あらかじめ決めておいた言葉と一致すると、装置内から赤外線が出て、決まった言葉と結び付けられた家電製品が動く……という仕組みなのです。
しかしこれ、“正しい命令”にのみ反応してくれないと困るわけで。
例えば電話してる時、不意に部屋の電気が消えてしまったら……。不意に発した何かの言葉に反応してしまう恐れだってあるだろう。
その対策法として、何がある? 例えば「開始スイッチ」を作るという考え方も無いではないが、そのスイッチを押す暇があったらリモコンを押している。そこで考えたのが、SF映画でもよく使われる“呼びかけ”だった。
「人に何かを頼む時は、名前を呼びますよね。『○○さん、電気を点けてください』と。
それは、コンピュータに対しても同様です」(同社・藤江代表)
だからこそ、「コンピュータ、テレビ点けて!」と言ったのだ。その上、インターネット上の音声データで検証し、精度を徹底的に向上させている。“ポルターガイスト現象”が起こらないように……。
ちなみに呼びかけのキーワードは、自分で気軽に変えることができるらしいです。例えば「コンピュータ」の部分を上司の名前に変えて「○○さん、電気点けて」みたいなね……。

ところで、この装置を開発したきっかけについても伺ってみたいのですが。

「SFみたいな未来を作ってみたかった……というのは建前ですが、本音を言うとエアコンの温度を変えるのにいちいちベッドから起き上がるのが面倒だったからです(笑)。我が家ではベッドの上に液晶を吊るしており、ベッドの上からほぼ全て何でもできます。だけど、エアコンの温度を変えることや電気を点けたり消したりができませんでした。エアコンの温度を変えるぐらいでベッドから起き上がってリモコンを探すとか、21世紀なのにそれはおかしいだろうと……」(藤江代表)
ひたすら楽をするにはどうすればいいかを追求した結果、見事に目標を達成してしまったのだ。

でも、今までにこういうのも発明されてますよね? 例えば、スマホで家電操作できちゃう製品とか。「スマホで家電操作するのもいいですが、それではリモコン以上の利便性を出せないと考えています」(藤江代表)

ここで、比較してみよう。
エアコン操作の際、それぞれ以下のような手間がかかっている。
・リモコンの場合
リモコンを探す→ボタンを押す→涼しくなる
・スマホの場合
スマホを探す→ホームボタンを押す→ロック解除→アプリを立ち上げる→ボタンを押す→涼しくなる
・音声認識の場合(『フューチャー ホーム コントローラー』)
「コンピュータ、エアコン点けて」と言う→涼しくなる
「音声認識以上の利便性を出すには、念力以外はないと思います」(藤江代表)

ところで、ふとした疑問が。これって、どんな家電にも対応してるんだろか? ……してるんです。赤外線の信号を学習するには、赤外線リモコンであれば学習できるというのです。
「学習リモコンの精度は音声認識と同じぐらい大切であると考えまして、開発とテストには力を入れました。知り合いの家を回って家電との相性をテストしたり、田舎の実家に帰り、親戚の家を回ったりして、幅広い家電との相性テストを行なっています」(藤江代表)

現時点では、一部を除きほとんどのメーカーに対応しているという状況だそう。
要するに、今ある家電で大丈夫。また赤外線がついていない家電でも、赤外線アタッチメントやWeMoなどを利用することで反応するらしいです。

そんな『フューチャー ホーム コントローラー』は、同社ホームページfacebookグループにて受注生産を受付中。
「市販の部品を使って組み立てているので、部品代がとても高額になっています。そのため、在庫を持つのが非常に困難です。そこで、在庫を持たない受注生産方式を取りました」(藤江代表)
定期的に購入者を募集し、締め切り期限になったら生産・送付するという方式である。次回の募集は6~8月が予定されているようで、価格は36,800円(送料込み)。

「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」という言葉がある。そして、実際に未来の生活を作ってしまった。「開け、ゴマ」ところの騒ぎではないですよ!
(寺西ジャジューカ)