夏真っ盛りで、顔のテカりが気になる今日この頃。今日は先日、京都で見つけて衝撃を受けた、まるでノートのような大判あぶらとり紙をご紹介したい。
ふつう、あぶらとり紙といえば、化粧ポーチにおさまるような小さいものが多いが、これは横約12cm×縦約18cmもある超ビッグサイズ! 一見あぶらとり紙に見えない、海外のステーショナリーを思わせるモダンなデザインも素敵だ。

京都にある和装小もののお店、「井澤屋」さんの定番商品で、お話を伺ってみたところ、大正時代からずーっとこのデザインなのだそう。2代目店主の井澤清七氏がヨーロッパを旅したさいに目にした、ドイツの淑女たちが化粧直しに使う紙ハンカチに着想を得て発売したものという。おそらく日本初のあぶらとり紙だったのでは……ということで、そんな歴史と伝統のあるモノが310円というお財布に優しい値段なのもうれしい。

「中のあぶらとり紙は3ッ折になっておりまして、広げるとかなり大きく、顔全体を覆うことができるほどたっぷりしています。手前どもは本店が南座のすぐ前にあることもあって、昔から役者さんへのお部屋見舞いなどにご利用いただくことも多く、舞台用のメイクを落とすときなどに重宝していただいているようです」とのことだった。

すっきりとしてかっこいいデザインなので女性はもちろん、男性への京都みやげとしても喜ばれているらしい。洋服のポケットやバッグからすーっと取り出す姿もさまになりそうですよね!?

ところで、そもそもあぶらとり紙とは何ぞや?と調べてみたところ、元を辿れば、金箔を薄く打ち延ばす際に使った和紙を再利用したことからはじまったアイテムらしい。

古来より、京都では寺院建築や工芸品などで金箔の需要が高かったが、次第にこの紙で顔を拭くとテカりがとれてさっぱりすると評判になり、汗をかくと困る職業の人=舞台役者さんや芸妓さん・舞妓さんなどのあいだで広まった。それがやがて庶民にも広まり、世界中から観光客がやってくる京都ならではのおみやげとしても重宝されるように。あぶらとり紙が京都土産の定番となった理由には、そんな背景があったようだ。

「井澤屋」さんには前述の大判あぶらとり紙の他に、「金箔打あぶらとり紙」という商品もあるのだが、これは本物の金箔打ちに使用された紙を使いやすい大きさにカットして綴じたもの。


男(または女)を上げる!?このあぶらとり紙。あなたもこの夏、涼しげな顔で町を闊歩してみてはいかがでしょう?
(まめこ)
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