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【読切とは読み味を変えた】
───『聲の形』の連載にあたり、読切と何か大きく変えたところはありますか。
大今 読切ではとにかく必要最低限の要素──それぞれの登場人物の感情がどう動き、何がどうなったという“情報”を作品の時間軸に合わせてひとつひとつ描きこんだり、コンパクトに情報を伝えるために、聴覚障害者の西宮硝子視点のシーンも描かなければならなかった。連載では視点をなるべく主人公の石田将也にしぼって、理解できない相手との間でどうやって理解を深めていくかということに焦点を当てるつもりです。“読み味”は読切と少し違うかもしれません。
───視点を固定した狙いはなんでしょう。
大今 これまで読んでいない人をどう引き入れるかということを考えた結果です。読切で描き上げたものを連載にするというのも、リメイクといえばリメイクですし、同じことを描きながら、いままで興味を持ってもらえなかった人を引き込みたい。それでいて読切で知ってくれたたくさんの読者にもオトク感というか、新鮮な印象で読んでもらえたらいいですね。
───「障害」や「いじめ」はマンガとして扱うには、とてもむずかしいテーマです。