あまちゃんファンブック「おら、あまちゃんが大好きだ!」発売記念「あまちゃんオフ会」に行ってきました!!

「おら、あまちゃんが大好きだ!」は、「あま絵」と呼ばれる「あまちゃん」の登場人物の似顔絵や名場面イラスト、妄想漫画、ドラマの小ネタの解説、ロケ地レポート、ミズタク論などを「あまちゃん」ファンであるプロ漫画家や文筆家たちがドラマ愛を込めて書いた本で、8月27日に発売されてからわずか10日間あまりで、既に5刷という人気です。

なんと、エキレビ!連載中の「おさらいレビュー」も16週分まで再録(少しだけ変わってる部分あります)されております。


この本の広告が、14日から30日まで、JR首都圏21駅(新宿、品川、東京など)のホームベンチ上看板に掲載されて、ますます熱くなりそう(残念なのは上野駅がない!)

この本がおもしろいのは、NHKのドラマの本を、フジテレビの本を多く手がけている扶桑社が出版していること。そして「非公式」を明言していること。にも関わらず、売れているのです。
ヒットのわけはファン目線。
ドラマを見て、好き勝手にワイワイ、あのシーンが好き、このセリフにシビレた、このキャラが大好きと、語り合う感覚を楽しめる本なのです。
参加者それぞれの好きな「あまちゃん」によって、読んだ人も自分の「好き」をどんどん思い浮かべることができます。

公式で真実を知る感動ももちろんありますが、「俺あまちゃん」という妄想に浸りきることもドラマを見る快感のひとつ。
そのセリフ、私も好き。おれは、あのネタに気付いている。ミズ勉(ミズタクと勉さん)よりもミズ甲斐(ミズタクと甲斐さん)のカップリングが好み、などなど、本を読むことで、好きな気持ちが連鎖、増殖、貞子状態、人の分だけ「好き」があり、パラレルあまちゃん化できればできるほど、人気があるってことではないでしょうか。
エヴァとか「風立ちぬ」についていろいろな切り口で語れることと同じです。

ファンといっても、プロの漫画家、作家、ライターの集まりです。
なんと、富野由悠季監督のコメントまで掲載されています。
皆、目のつけどころが鋭く、愛情表現も濃いのです。
しかも、彼らは日夜、自分たちの作品をつくりながら、趣味で「あまちゃん」のことをせっせと描いています。その出来映えは、デザートは別腹っていう感じに近いでしょうか、本気度ハンパありません。

純粋過ぎて強烈な「あまちゃん」愛の数々を集めて一冊にしてしまった、あまちゃんファンブック「おら、あまちゃんが大好きだ!」発売記念「あまちゃんオフ会」とは、あま絵作家たちの集いでありました。
集まったお客さんは、定員の3倍くらいの倍率をくぐりぬけたそうです。


時に9月1日、14時。
本の編集者・大久保かおりさん、北三陸レポなどを手がけたライター安田理央さんが司会で登場。この日の時点でもう4刷になっていたことを報告。
「最初、初版絞られたみたいなのにね」と安田さんが増刷を喜ぶと、大久保さんが「倍返しだ! みたいな」と笑わせました。いったい何倍返しになったんだろ。

そして、青木俊直さん、なかはら・ももたさん、シラトリユリさんが登場。
あまちゃん愛を語り尽くします。
青木さんは毎日、その日の「あまちゃん」の名場面をイラストにしてネットに上げ続けています。イラストは当然魅力的ですが、話術も巧みで、司会のようなこともやりながら、
あまちゃん愛もしっかり語っていました。
なかはら・ももたさんは勉さん推しのため勉さんのコスプレで登場。でも琥珀がないので代わりにリスを持参していました。これってリアスと賭けていたのでしょうか。

シラトリユリさんは、Twitterで「ミズタク俺の部屋まつり」のハッシュタグをつくった方。頭に豆絞りのカチューシャをつけて無頼寿司感を出していました。

この日、前日の土曜日の「あまちゃん」が3.11の昼間を描いていて、明日月曜日はどうなるんだろう?とみんな心配していたため、ノーテンキにワイワイ騒げない雰囲気もあったのですが、明日以降を気にしながらも、自由に愛を語り合いました。

印象に残った話を抜粋すると、青木さんは「ゲゲゲの女房」の頃から朝ドラの絵を描いていて当時は「ゲゲ絵」と呼ばれていたそうです。
俳優が面白い表情や身体のラインをすると記録したくなり、「あまちゃん」ではアキの猫背のラインに絵心をくすぐられたそうです。

続いて、ひうらさとるさん、うめ(小沢高広、妹尾朝子の夫婦ユニット)さん、北いわて親善大使サトウコウスケさんが登場。

ひうらさんは、ヒビキ一郎が撮影していた浴衣のユイちゃんのイメージの浴衣姿! 美しい! 
ウメ(小沢さん)さんは、「『純と愛』が辛い終わり方だったので『あまちゃん』のオープニングを聞いたとき、(その明るさに)泣きそうになった」そうです。
サトウさんは、いわてをアピールするためにイラストを書き始めたそうで、でも、その絵がドラマにも映っているのです。あとでお話を伺ったら、輪郭線のないイラストは、輪郭を描くと技術力の差があからさまに出るので、思いきって省略してしまったということ。アイデアの勝利ですね!

途切れることなく激しく語られる「あまちゃん」話で、1時間があっという間。
この時点で気付いたことは、誰も「じぇじぇ」と言わないことでした。
あまりに定番過ぎて使わないのだなあと思いましたが、その後、会場のお客さんの中に、久慈出身の方がいることが判明したとき、ようやく「じぇじぇ」が登場しました。

後半戦は、イラストタイム。みなさんが好きな登場人物、好きなシーンをその場で描いて、抽選でお客様に当たるという垂涎な企画。
みなさん、ほぼ下書きなしで、グイグイ描いていて、さすがーと見とれてしまいました。
「風立ちぬ」で堀越二郎が図面を引く描写に熱がこもっていますが、みなさんの絵を描く姿は、語る姿以上に「かっけー」かったです。

トークもイラストも、「あまちゃん」のことが本当に好きで好きでたまらない感に溢れていました。会場のお客様もコースターにイラストを描いて、この日の記念に提出していましたが、みんなうまいんです。絵心のある人がたくさん集まったイベントでした。
会場ではアキ役の能年玲奈さんが所属するレプロから販売されている「あまちゃん」グッズの販売もあり(これは事務所公式)、あま絵の原画展示もあり、イベントのあとは自然と漫画家さんのサイン会みたいな感じに。
この公式なのか非公式なのかよくわからないごった煮の、手作り感あふれた雰囲気で、すごい盛り上がっているところにも「あまちゃん」の海のような懐の大きさを感じます。

「あまちゃん」では、アイドルおたく(後にアイドル評論家)ヒビキ一郎や、アキのファン第一号のヒロシ、春子のファン第一号の正宗、地元で春子を待ち続けた大吉など、相手を大好きで一生懸命追っかけている人たちが出てきます。アキユイの同人誌も初期に登場しました。種市だってアキにとってのアイドルです。
「あまちゃん」は「好き」で一生懸命な気持ちを描いたドラマでもあります。
会場にいた誰もが、ドラマの中の追っかける人たちの気持ちに共感しているんじゃないでしょうか。やっぱ、あまちゃんが、大好きだ!(木俣冬)