あの男、誰なんだ。
君が昼間、上野あたりで会ってる、あの男だよ!
全部知ってるんだ、俺は。

君のことも、広樹のことも、俺たちがこれからどうなるのかも!


先週放送されたTBS日曜劇場「流星ワゴン」第3話では、西島秀俊演じる主人公・一雄がとうとう、妻・美代子(井川遙)に対する感情を爆発させた。

最初のタイムスリップ(第1話)では、妻が若いイケメンといかにも親しげな様子で歩いているのを目撃しても、「自分からついていったのかもしれないし」と、見て見ぬふりをした。次のタイムスリップ(第2話)では、その男が自宅を訪ねてくる。美代子は「あ、保険の勧誘の人……最近、しつこくて」「こういうのはさ、一回相手にするとしつこいでしょう。放っておくのがいちばん」と苦しい言い訳を並べ、居留守を使う。その間もドアチャイムは鳴り続ける。

チュウさん(香川照之)がすかさずトイレに行くフリをして、訪ねてきた相手を確かめに行く。しかし、一雄はソファから動かない。「あいつじゃ」という、チュウさんの報告にも「まさかストーカー……」と表情を曇らせるだけ。

「何のためにこのドライブを続けているんですか。天罰か何かですか」
「僕がいくら現実を変えようとしても変えられないのと同じですか」

と、何かにつけて諦める理由を探していた一雄が一転、妻に食い下がったのには理由がある。

今回のタイムスリップで、息子の広樹(横山幸汰)が学校でいじめられたことを知ったのだ。

現実の世界では、広樹は私立中学の受験に失敗する。結果を知っている一雄はタイムスリップするたびに「もう受験やめちゃおうか」と提案してきた。でも、広樹は承諾しない。顔色を変えて「受験させてください」と懇願してきた謎が解ける。

また、現実の世界で受験に失敗した広樹が家に引きこもり、家庭内暴力にまで発展した理由にもおぼろげながら見えてくる。そもそも、広樹がいじめられるようになったきっかけは私立受験。「ゲームなんかしてるヒマないんだよ。ホントごめんな」「いいよな、お前らは気楽で、うらやましいよ」といった
軽口が、級友の神経を逆なでした。私立中学が不合格となり、いじめの首謀者たちも通う地元の中学に進学したことで再び、いじめられる日々が始まったことは想像に難くない。

引っ越すぞ。
もう決めてきた。
とりあえず、ここよりだいぶ狭い中古のマンションだけど。

広樹のためだ。


一雄は息子をいじめから守るため、引っ越しを決意する。しかし、事情を知らない美代子は驚き呆れ、反発する。「酔っ払ってるんなら、シャワー浴びて頭冷やしてきて」と相手にされず、いよいよ切羽詰まった一雄が持ち出したのが、冒頭の「あの男、誰なんだ」問題だった。

「なんのこと?」と表情をこわばらせる美代子。
次の瞬間、「いい加減にしてよ!」と一雄を怒鳴りつける。
うまい。何かをごまかすには、問い詰めようとしている相手以上に怒るに限る。仮に浮気をしているとしたら、昨日今日はじめたばかりの初心者ではなさそうだ。

案の定、「あなたはいつもそうやって……あなたに私の気持ちなんてわからないでしょう!!!」と美代子に逆襲され、話はうやむやになる。結局、あの男は誰だったのか。美代子とどういう関係なのか。
美代子が一雄に抱いている不満とは……とわからないことだらけだ。

そして、今夜放送の「流星ワゴン」第4話。
一雄は外出する美代子を尾行する。予告動画では、西島秀俊が「美代子ぉぉー!」と叫び、香川照之が「どうせ、今のあんたには失うものなんかないと違うんか」と美代子を諭す。そして、あの若い男が再び現れる。原作とはやっぱり違う展開になりそうな妻・美代子の闇がいよいよ明かされるのか。今夜9時から!

*最新話放送の1分前まで、TBSオンデマンドで前話を無料配信中(第3話は2月8日(日)20時59分まで)
(島影真奈美)
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