■「絵馬」にはプライベートなことが書きたい?
「○○大学医学部絶対合格!」「彼氏と永遠に一緒にいられますように(ハート)」といったスタンダードな祈願から、「ニンテンドーDSもう1台ほしい」「跡部様と結婚したい(イラスト付き)」などなど、“みんないろんなこと考えているもんだな~”と二度見してしまうオモシロ絵馬も結構ありますよね。
とはいえ、本気でご利益を期待すればするほど、そこにくわしい情報を記したいのが人間の性(さが)……。合格祈願や健康祈願、縁結びなど、かなりプライベートな情報が書かれている絵馬も少なくありません。もちろん、普通は人の絵馬に書かれた情報を悪用しようなんて思いませんが、書いた側からは「人にプライベートなお願いを見られたくない」「個人情報を知られたくない」というニーズが出てきているのだとか。
■個人情報が保護できる「絵馬」にニーズが
そんな潮流に合わせて登場したのが、絵馬用の「個人情報保護シール」……! こ、こんなところにまで“個人情報保護”が及んでいるとは。現在、京都府・下鴨神社、奈良県・大神神社、三重県・猿田彦神社などが配布しているこの「個人情報保護シール」は願い事の上からシールを貼りプライベートな情報が他人に見えないようにするというもの。
たとえば猿田彦神社の個人情報保護シールには、「この絵馬は個人情報保護の為 祈願主が自らシールを貼っています」と書かれています。このシールはテレビのニュースでも取り上げられ、ネットでは「これじゃあ神様も読めないでしょ」といったツッコミの声もちらほら。
神社の方によれば「ご利益に影響はない」そうで、利用者側からは「より個人的なことが書けるので嬉しい」という声も上がっているそうです。
■まだまだある! おもしろい絵馬たち
そんな個人情報保護の絵馬だけでなく、日本全国にはまだまだ個性的な絵馬が存在するのです。
たとえば、埼玉県に存在する「バット絵馬」。神社の名前が「箭弓(やきゅう)稲荷神社」だったことからバットの形をした絵馬を販売するに至ったそうです。購入できるのは「野球バット絵馬」と「ホームベース絵馬」の2種類。全国でも珍しい“野球神社”という異名を持つこの箭弓稲荷神社には、毎年多くのプロ野球選手や球団関係者が参拝しに足を運ぶんだそうです。
また愛知県の龍音寺・間々観音に存在するのが「おっぱい絵馬」と呼ばれるユニークな絵馬! この場所は「間々乳観音(ままちちかんのん)」とも呼ばれ、日本でただ一つの“お乳のお寺”として親しまれているといいます。「おっぱい絵馬」には母乳に関するお願いごとだけでなく巨乳願望を書く人も多いそうで、地元の人には有名なんだとか。
ほかにも京都府の伏見稲荷大社で出会えるのが、「白狐絵馬」。奉拝所では狐の形の板に細い目だけが記された絵馬が授与されるので、そこに自由に顔を描いて祈願するというもの。無数の個性的な表情がおどる白狐絵馬の群れは圧巻で、表情豊かなキツネたちが参拝者をほっこりさせてくれます。
「個人情報保護シール」が物議をかもしている絵馬ですが、それも含めて日本全国津々浦々、世相や地域性が反映された“おもしろ絵馬”を探してみるのも楽しそうですね。
(はなふさゆう)