松本人志がチェアマンとなり、10人の芸人が大喜利No.1を決める『IPPONグランプリ』(フジテレビ)が5月23日(土)に放送される。

有吉弘行 / ウド鈴木(キャイ~ン) / 大久保佳代子(オアシズ) / 小木博明(おぎやはぎ) / 小出水直樹(現 : シャンプーハット こいで) / 設楽統(バナナマン) / 高橋茂雄(サバンナ) / 徳井義実(チュートリアル) / バカリズム / 又吉直樹(ピース)
大喜利といえば、一般的には「お題に対して面白い回答を言う」という認識。
しかし生の大喜利ライブでは、面白いことを言うだけでは勝つことはできない。
即興で答えを出す緊張感、回答するタイミング、答えの読みかた、他の出場者との駆け引き……。
「お題→答え」だけではない。空気や流れも支配する必要がある。いわば格闘技なのだ。
『IPPONグランプリ』は、芸人同士のガチの大喜利を観戦できる貴重な番組。
今回で13回目を迎え、絶対王者のバカリズムをはじめ、千原ジュニア、ロバート秋山など歴代優勝者が並ぶ。加えて、初出場や久しぶりの出場者が見逃せないラインナップ。
その見どころを3つにわけて伝えたい。
「レジェンド」板尾創路が参戦!
お題「せっかく完成した透明人間になる飲み薬。あまり使いたくない副作用とは」
板尾「透明人間からよく話しかけられる」
(2015/5/16 O.A. フジテレビ『IPPONスカウト』 本戦予告映像より)
テレビ・映画など、いまでは個性派俳優としての露出が多い板尾創路。
バラエティ番組ではNHK『着信御礼!ケータイ大喜利』の審査員長など、「一段上」のポジションにいる。
その板尾創路が久々に「プレイヤー」としての登場である。
『ダウンタウンのごっつええ感じ』では「板尾係長」「シンガー板尾」、『虎ノ門』では「しりとり竜王戦」など、独特のシュールさで多くの伝説を残してきた。アラフォー世代のお笑いファンは今でもそらで言えるフレーズがあるだろう(「お前とお前は帰ってよし!」など)
これまでのIPPONグランプリは、芸人たちから誰が抜け出すか?のレースだった。
しかし今回は「レジェンド VS 歴代王者」の図式になっている。
板尾創路が入る予選Aブロックには、手数の多さで圧倒するバカリズムや、松本人志から「酔拳」と評された堀内健がいる。夢の共演であり、デスマッチ。お笑いに歴史の教科書があったら載るくらいの出来事と言っていい。
ちなみに、IPPONグランプリのスタジオに足を踏み入れた板尾、第一声は「セットがテレビで観るよりも黄色い」だったそう。
オードリー若林&博多大吉が久々の登場
お題「おやじの部屋に『思い出』と書いてあるビデオテープ。その内容は?」
若林「イロモネアの審査員をしている」
(フジテレビ『IPPONグランプリ 09-10春の陣』より)
2009年の第2回以来5年ぶりの登場となるオードリー若林。
第2回では千原ジュニア・堀内健らを破り予選ブロックを突破。決勝では設楽統を2-1まで追い詰めるも惜しくも敗退。
ベタ、絵ネタ、シュール系まで、松本人志が「いろんな角度から答えるもんね」と評する視点の多さが武器。
ブレイク前からずっと大喜利が大好きな若林。
その雪辱もあってか、ブレイク後に出場した『ダイナマイト関西 2010 first』では優勝している。IPPONグランプリでも5年ぶりの雪辱を果たせるか。
お題「『ナポリタン』という言葉を使って相手を震え上がらせて下さい」
大吉「この質問に『ナポリタン』と答える人は殺人犯と同じだそうです…」
(フジテレビ『IPPONグランプリ 2011開幕戦』より)
前回出場は2011年。緊張のあまりオープニングで噛み倒し、「普段パーカーしか着てないのに」「松本さんの声が聞こえないのが助かる」とネガティブなスタート。
「写真で一言」ではインドの満員電車の光景に「さぁ行こう、社会主義国へ!」と添えるなどダークな回答を繰り出し、最後まで有吉・バカリズムと競るが敗退。
しかし、同年5月に開催された『ダイナマイト関西GW』では優勝。実力は実証済み。
ゴールデンの露出も増え、前回よりも緊張が解けると思われる大吉先生。その爆発を見たい。
初参戦組:トレンディエンジェル斎藤&狩野英孝
お題「結婚式で『あっ、この2人すぐ離婚するな』なぜそう思った?」
斎藤「式場カメラマンの一眼レフがNIKONじゃなくてRIKONになってる」
(2015/5/16 O.A. フジテレビ『IPPONスカウト』より)
出場者の最後のひと枠を決める「IPPONスカウト」。
今回は1508人のお笑い芸人が「全国一斉大喜利ペーパーテスト」に参加。
「IPPONスカウト」決勝で、斎藤は自己紹介で「まさに寝耳に水」と出場に驚きつつも、ハゲとリズム感を打ち出した回答でリード。
同じ回答でも出し方・読み方・キャラクター・タイミングなど様々な要素で笑いの量が変わるのが大喜利の醍醐味。斎藤はキャラクターでグイグイ押すタイプ。斎藤が闘う予選Bブロックには、同じくキャラで押すロバート秋山がいる。本戦の空気に飲まれずに自分を押し出せるかが肝だ。
お題「このお化け屋敷全然怖くない・・・なぜ?」
狩野「入り口にお化け役のバイトのタイムカードが並んでる」
(NHKラジオ『すっぴん!』日本一早い大喜利コーナー より)
このIPPONスカウトに毎回挑戦して落選していたのが狩野英孝。実は大喜利が大好きなのである。
昨年1月には、アメーバブログで1日に大喜利1001回答というギネス記録に挑戦。ホテルに24時間缶詰になって1001回答を達成するも、「大喜利ボケでのブログ更新をギネス世界記録として認めることはできない」という企画を根底からくつがえす理由でギネス認定はならず。
TBS『水曜日のダウンタウン』では「狩野英孝 実は大喜利最強説」を持ち込み、実力を示すためにテレビ・ラジオに名前を伏せて投稿。3週間で626投稿を行うが、NHKラジオ「すっぴん!」で1通読まれたのみ。
バカリズムに「狩野は大喜利が好きだけど、大喜利の神様には見放されている」と言われる狩野英孝。爪あとを残しても残さなくても面白いからズルい。
もちろん、久しく優勝から遠ざかっているバカリズムを始め、歴代優勝者たちも黙ってはいないだろう。
今回の『IPPONグランプリ』は誰が勝ってもドラマが生まれる大会だ。
ちなみに、『IPPONグランプリ』放送の同日深夜にはNHK総合で『着信御礼!ケータイ大喜利』の生放送がある。
”板尾審査員長”と”ジュニアプロ”が、他局の大喜利バトルについて触れるのか、そして最近採用から遠ざかっている僕(レジェンド第14号・INO)の投稿が読まれるのか気になっている。
(井上マサキ)
→陰陽頂上決戦に興奮。ケータイ大喜利レジェンドが第13回「IPPONグランプリ」を徹底解説