撮影／田中聖太郎
■大塚 愛 LOVE TRiCKY LIVE TOUR 2015～ヘルシーミュージックで体重減るしー～
2015.07.29（WED） at LIQUIDROOM
（※画像8点）
ダイエット効果抜群!? 大塚愛 LOVE TRiCKY TOURファイナル公演
7月29日、東京・恵比寿LIQUIDROOMにて【大塚愛 LOVE TRiCKY TOUR 2015〜ヘルシーミュージックで体重減るしー〜】のツアーファイナルが行われた。自身初の共作、そしてEDMサウンドという革新的なアルバム『LOVE TRiCKY』を引っ提げての今ツアー。
アルバムがリリースされて以降、この世界観がどのような形で具現化されるのか、楽しみにしていたファンも多いはずだ。
撮影／田中聖太郎
開演前、「BABASHIのテーマ」のリアレンジバージョンが大音量で流れるフロアに足を踏み入れると、場内はすでにかなりの熱気に包まれていた。外気温の高さもさることながら、それだけではない、オーディエンスから立ち上る熱気こそ、この日の公演に対するファンの期待値の高さに違いない。会場を埋め尽くす観客からステージへ目線を移すと、そこには今回のツアーメンバーである阿部登（STUDIO APARTMENT）、野村卓史（グッドラックヘイワ ex. SAKEROCK）、宮田リョウ（a.k.aレフティモンスター）らが立つ鍵盤楽器、そして実に9台ものMacBookがズラリ。この時点で、この日の公演が過去に大塚愛が私たちに見せてくれたものとは異なるステージが繰り広げられることを確信した。
撮影／田中聖太郎
1曲目を飾ったのはニュー・アルバムからの「I’m lonely」。
スポットライトに左手を高く上げた大塚の姿が浮かび上がると、ひと際大きな歓声が上がる。ポニーテールをサイドに流し、ノースリーブのワンピース姿で登場した彼女は、冒頭こそ定位置に置かれたキーボードでピアノを奏でたものの、すぐにハンドマイクに持ち替えてステージを動き回り、途中ショルダーキーボードでの演奏を披露するなどトップギアで観客を盛り上げる。さらに「ハロー、東京！ LOVE TRiCKY TOUR千秋楽、一緒に踊って行こう!!」と観客を誘い、「パラレルワールド」に続き「SMILY」「ユメクイ」と、これまでの名曲たちも本ツアー用のアレンジで披露していく。「ユメクイ」では間奏で、アルバムの共作者であり本ツアーのバンマスでもある阿部が奏でる音色に合わせて気持ち良さそうに自由に踊る大塚の姿が印象的だ。
撮影／田中聖太郎
ライヴ中盤で演奏された「laugh」は、低音を効かせたリズムからEDM特有のアゲ方にステージもオーディエンスも昇天寸前！ 続く「affair」は、のっけからのクラップに加え、彼女の悩殺ダンスにオーディエンスはついに昇天！ アルバム『LOVE TRiCKY』の魅力がもっとも炸裂するシーンだった。
ライヴは中盤までですでにツアータイトル通り“体重”が“減る”ほどの盛り上がりだったが、「みなさん、ここから体重を落としていきましょうか！ 体重だけじゃなく、日ごろの鬱憤も全部落として、心もヘルシーになって帰ってください！」というMCを挟み、怒濤の後半戦へと突入。
撮影／田中聖太郎
「フフフ」や「Is」のほか、まさか本ツアーで披露されるとは思わなかった「ラーメン3分クッキング」（曲中では、会場ごとに“ご当地グルメ”入りカップラーメンを作成していたらしく、東京公演のこの日も東京名産物を投入）など、意外な選曲で観客を魅了する。とくに「ラーメン3分クッキング」はゲーム音楽のようなアレンジで、その歌詞の内容とクールなサウンド感がシュールな世界観を生み出していた。さらに「さくらんぼ」「未来タクシー」といった彼女のライヴでは欠かせない楽曲たちも、当然のことながら新しいサウンドに生まれ変わっている。これまで、どちらかというと可憐なアレンジで披露されていた「さくらんぼ」も、今回は重低音をズンズンと響かせたサイバーなアレンジに衣替え。それでも「もう1回！」のコールは健在で、オーディエンスから挙がる「もう1回！」の声に大塚も満面の笑みを浮かべていた。そして本編最後のナンバーは「タイムマシーン」。
リズムに合わせて高く挙がるオーディエンスの手首には、ツアーグッズの一つ“光るブレス”の赤やブルーの光が浮かび上がり、その光景はまるで“未来へワープ”するタイムマシーンのよう。ステージとフロアが溶け合うように一つとなってフィナーレを迎えた。
撮影／田中聖太郎
アンコールで再びステージに登場した大塚は、まずオーディエンスに「ありがとう」とお礼を伝え、その後、今回のアルバムについて、また自身の在り方について次のように話した。
「今回のアルバムは、私の好きなものをすべてやった！という作品。歌う喜びよりも作っている喜びのほうが大きくて、自分は（歌手じゃなくて）クリエイターなんだなと思いました」
撮影／田中聖太郎
おそらく彼女の活動をよく知らない人の多くは、大塚愛＝歌手だと思っていると思う。しかし、この日彼女がステージ上でやってのけたパフォーマンスは、単に歌をうたう人としてではなく、音と空間をクリエイティブしていく意欲に溢れていた。
アルバム『LOVE TRiCKY』やキーボーディストばかりの編成で行ったライヴがトリッキーなように見えているのは実は外野だけで、彼女にとっては自分の声に従っただけの、むしろスタンダードなことなのだろう。
アンコールで披露された「end and and -10,000 hearts-」は、彼女のピアノ弾き語りから始まり、後半からメンバーの演奏がフェードイン。徐々に音圧を増していくドラマチックな展開に、オーディエンスは引き込まれるように聴き入っていた。
撮影／田中聖太郎
ふと気付くと、彼女はメンバーと共にステージに並んで立っている。その顔にはツアーファイナル特有の、寂しさと安堵が混じったような表情が浮かんでいた。その目には確かに光るものもあったように見えたが、その真相は次回彼女にインタビューする時に訊いてみたい。
そんな彼女は、9月13日に【LOVE IS BORN 〜12th Anniversary 2015〜】を開催。12年目を迎える今年は、バンマスの亀田誠治を筆頭に、西川進、沼澤尚、皆川真人、磯貝サイモンという豪華かつ鉄壁の布陣で臨むという。ライヴ中に彼女が言った「今日が終わったその先で、またみんなに会えるのを楽しみにしています」という言葉の“その先”は、もう目前に迫っている。
（取材・文／片貝久美子）
≪セットリスト≫
1. I’m lonely
2. パラレルワールド
3. SMILY
4. ユメクイ
5. busy lady
6. shooting star
7. laugh
8. affair
9. 羽ありたまご-エスプレッソ
10. reach for the moon
11. MOONLIGHT
12. summer lovely days
13. フフフ
14. Is
15. ラーメン3分クッキング
16. 5:09a.m.-トニック
17. さくらんぼ
18. 未来タクシー
19. タイムマシーン
＜アンコール＞
1. end and and-10,000 hearts
≪リリース情報≫
Album
『LOVE TRiCKY』
2015.04.22リリース
【CD+DVD盤】
AVCD-93119/B / ￥4,000（税抜）
【CD盤】
AVCD-93120 / ￥2,750（税抜）
≪関連リンク≫
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