
151話は、こんな話
希(土屋太鳳)のブログに、「貝殻おじさん」のハンドルネームで書き込みがあった。貝殻といえば、徹(大泉洋)がかつて考えた貝殻ビジネスを連想させる。父が生きていたことに喜びと複雑な気持ちを抱きつつ、いよいよコンクール当日。希の前に、師匠・大悟(小日向文世)が立ちふさがった。
今日の、勝手に名言
「叩きのめしてやる」(大悟)
小日向文世が出てくると、俄然締まる「まれ」。
ついに希と世界一を目指して闘う、その宣言が、↑この台詞です。
小日向さんの瞳も声も、弦をおそるおそる弾いたように揺れていて、「叩きのめしてやる」の響きはスネ夫的というか、無理して俺様感出しているふうに聞こえるのですが、大悟的には多分本気。その見た目と中身の噛み合なさを人間の奥深さに転化してしまうベテランのテクニックを、151話でも、短時間で存分に発揮しています。
己のケーキへの執念を希という好敵手によって燃やすことと、能登で暢気にしている希をたきつけることの一石二鳥を選んだ大悟。さすが、何かを得る為には何かを捨てろ、と言いながら、ケーキも家族も獲得している凄いやつ!
今日の、つっこ「まれ」
徹に違いないハンドルネーム「貝殻おじさん」に激しくつっこむ一徹(葉山奨之)。視聴者の楽しみを奪った一徹のせいで、もう書くことがありません。しょぼん。
それにしても「貝殻おじさん」・・・。
どういう思いで徹はこの名前を考えて記したのかと想像すると、いじらしくなります。
ブログを読んで、応援したくて思わず書き込み、気づいてくれたらいいなあと一抹の期待を抱きながらハンドルネームを打ち込む、やや丸まった背中を妄想してやまないのは、過去に、「けじめだから」と離婚中は藍子(常盤貴子)と連絡をとらないと意地を張っていたエピソードなどが描かれていたから。
「まれ」は大泉洋と小日向文世演じる、男たちの強がりによって、かろうじて支えられている気が致します。「それいけ、それいけ」と真っすぐ疑いなく突き進むヒロイン・希が乗った神輿を、男たちが決してマッチョではない上腕でぐらぐら揺らしている図が目に浮かんでくるのです。
「花子とアン」の嘉納伝助(吉田鋼太郎)もそうで、俳優が巧いと、本筋そっちのけで、脇役の物語にぐいぐい引っ張られてしまうんですよね。
(木俣冬)
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いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括))