80年代末に登場した2D対戦型格闘ゲーム『ストリートファイター』の第2弾として、1991年に登場した『ストリートファイターII』、通称ストII。
全国のゲームセンターで爆発的なヒットを飛ばし、翌年にはスーパーファミコンにも移植。
その勢いは国内のみにとどまらず、アメリカ、アジア、ヨーロッパと全世界にも飛び火、続編の『ストリートファイターIIターボ』と合わせて累計1500万本以上を販売した歴史に残るゲームだ。

そんなストIIがアニメ映画となったのが1994年。スーパーファミコンとメガドライブでの『スーパーストリートファイターII』の発売(どちらも定価10,900円と時代を感じる驚異の高額)に合わせて、『ストリートファイターII MOVIE』が全国ロードショーにて封切られたのだ。
映画はアーケード版の『スーパーストリートファイターII』が原作。なので、この時点での登場キャラクター16人がすべて参加する作品となっている。

【篠原涼子最大のヒット曲が主題歌】


監督・脚本は『銀河鉄道の夜』『タッチ』シリーズを手掛けた杉井ギサブロー氏、キャラクターデザインは『機動戦士ガンダムF91』の村瀬修功氏と、超豪華! と言っても、アニメファン以外にはなかなかピンと来ないかも……。

しかし、主題歌が何より豪華!
篠原涼子 with t.komuro『恋(いと)しさとせつなさと心強さと』なのだ。
初回出荷枚数2万枚、オリコン初登場28位と、平凡なスタートを切りながらも息の長いヒットを続け、最終的にはダブルミリオンを記録。時代を超えて愛される名曲となっている。
エンディング曲は、シングルのB面になる『GooD LucK』。この映画による最大の恩恵を受けたのは、芸能界に磐石の地位を築き上げた篠原涼子かも知れない。

【羽賀研二が好演するケンに注目】


声優もこの時代ならではの布陣が務める。
主役のリュウに清水宏次朗、準主役のケンは羽賀研二。どちらも見た目のそれっぽさでキャスティングされた感が否めないが、私生活でも親友だからなのか、意外としっくりくるから侮れない。

羽賀研二は前年の『アラジン』の吹き替えでも高評価を受けており、後のテレビアニメ版『ストリートファイターIIV』でも同じくケンを務めている。
社交的で派手好き、自信過剰でビッグマウスといったケンの設定を地で行く羽賀研二の当たり役といえよう。

ヒロインの春麗(チュンリー)は藤谷美紀。第1回「全日本国民的美少女コンテスト」のグランプリを獲得している90年代のアイドル女優だ。
カンフーキャラのフェイロンは、当時『パンクラス』所属のプロレスラー船木誠勝(まさかつ)。セリフ自体は少ないが、確かな存在感を発揮している。
ちなみに、格闘技アドバイザーとしてK-1のプロデューサー石井和義氏と、そのスター選手だったアンディ・フグも参加。これにより、アクションシーンも見応えある仕上がりとなっている。

【春麗ファン必見のサービスシーン】


ゲームではありえないこの映画ならではのサービスシーンが、春麗のシャワーシーンだ。
必要以上に長い尺の中、バストトップまであらわになる大盤振る舞いぶりで、その直後には、下着丸出しの姿でバルログとバトルを繰り広げる。当時の中高生は、このシーンだけでも映画代の元を取れたかも?!

ゲーム同様、アニメ映画も20年以上前の作品とは思えない完成度の高さで見ごたえ十分。
今なら「波動拳」が打てるんじゃないか?! なんて思えるほどに、あの時代の興奮がよみがえるはずだ。

(バーグマン田形)
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