
NHKドラマガイド「連続テレビ小説 あさが来た」Part1 NHK出版
9話は、こんな話
あさ(波瑠)は下手な字ながら、新次郎(玉木宏)に手紙の返事を書いた。だが音沙汰がない。代わりに届いたのは、昔すれ違った五代才助(のちの友厚/ディーン・フジオカ)がイギリスから送ってきた手紙だった。
9話は、おもしろ回
主な登場人物の紹介もひと通り済み、ひとりひとりのキャラを深めていく段階に入ったか、9話は、俗にいう小ネタが盛りだくさん。例えば、忠興(升毅)と梨江(寺島しのぶ)が交わす、あさとはつの今後に関する真面目なやりとりがどこか夫婦漫才のようで、ふたりであさのことを「とんでもない」「とんでもない」と連発してみたり、頑固な夫に忍従の妻がとうとう本心をむき出して怒ったり、それをこっそり聞いている女中うめ(友近)の影が障子に映っていたり。
できた女中うめは、あさにもはつにもついていってほしいと思われるほどだが、ふたつの家には同時について行けないことを申し訳なく思って、「うちの体が柿や桃みたいにササッと半分に割れたらどんなにええか」とあくまで真面目な感じで言うのもいい。
新次郎を大和和紀の絵で観たい
うめに輪をかけて巧かったのが、新次郎だ。
新次郎「こないなときはわてかて誰かて何しようが雨降りの太鼓やさい」
雁助(山内圭哉)、亀助(三宅弘城)「?」
新次郎「ドンも鳴らん言うてな」
雁助「うまい」
こんなふうに、ちょっと洒脱な笑いを盛り込む新次郎。
そのうえ、一輪の白い椿を、病気の兄の部屋に飾るセンスの美的センスも見せる。なんかもう素敵過ぎ。ええなあ、あさ、とうらやましくなるばかりで、さらにあさは、五代才助という進歩的な男性に、ほんの一瞬出会っただけなのに、何年も覚えてもらって外国から手紙まで送られ、今後もいろいろ関わっていくのだろうから、これはもう両手に華的な黄金の少女マンガパターンと言っていい。まあ、これも、朝ドラあるあるでもあるが。
素敵ないいなづけと、そのほか、素敵な殿方に囲まれる、お転婆ヒロインというと「はいからさんが通る」を思い出す。
いずれにしても、かなりパーフェクトな夢の王子様キャラに新次郎はいまのところなっている。玉木宏は06年から放送された「のだめカンタービレ」から9年めにして、一層円熟味を増した王子役に出会ったといえよう。


おひなさんを大事にしたら幸せなお嫁さんになれる
能面に続いて、おひな様で心象を表現。かつらがとれて、大騒ぎするところがあさのキャラをよく表しているし、おひな様にミニそろばんをつくってもたせるところは、不器用ではあるが、あさなりの女ごころを可愛らしく見せた。
「おひなさんかて、いろんな経験してたくましゅうなって、そやかって幸せになるんや」(はつ/宮崎あおい/崎の大は立)というのも、まるであさやはつのこれからを暗示するようだ。
(木俣冬)