その記念すべき第一歩、第1号となる90年12月12日号にクローズアップしてみたい。
鳥山明先生頼みの第1号
少年人気を二分していた『コロコロコミック』『コミックボンボン』を意識したコミック&ホビー誌としての位置付けで、この時点での雑誌タイトルは『ブイジャンプ』。92年に現在の『Vジャンプ』表記に変更している。
ドッジボールやミニ四駆などのホビーマンガ&読者参加企画に強いコロコロ、ガンダムのプラモ&コミカライズに強いボンボンといった当時、ブイジャンプはテレビゲーム界の王者『ドラゴンクエスト』&ブーム真っ盛りのトレーディングカード『カードダス』の情報を引っさげて参戦!
ドラクエに強いジャンプの本領発揮で、スーパーファミコンソフト『ドラゴンクエストV(ファイブ)』の主人公たちの姿を巻頭ポスターでスクープしている。
(ちなみにドラクエVの発売は、92年9月。この後2年近くも待つはめになるとは、当時の読者も夢にも思わなかったはずだ)
カードダスは『ドラゴンボール』&アニメ版『ドラゴンクエスト』を大特集。ドラゴンボールの作者は鳥山明、ゲーム&アニメのドラクエのキャラクターデザインも鳥山明。マスコットキャラクターデザインも、巻頭マンガ『貯金戦士CASH MAN』も鳥山明。さらに鳥山明自らが顔出しの上で(今となっては激レア!)、当時大ブームだったF-1のプラモ作りをアドバイスするコーナーも。
そう、鳥山明先生さまさまの第1号なのだ。
少年ジャンプで打ち切られた聖闘士星矢の最終回も掲載
センターカラーには、一大ブームを巻き起こした『聖闘士星矢』の最終話を掲載している。アニメもフィギュアも大ヒットし、少年ジャンプでの連載も5年続いた看板作品ながら、終盤の人気は低空飛行。最終話はあえなく弟雑誌送りとなっている。
実は、カードダスシリーズの第1号作品でもある星矢。
またジャンプ本誌との繋がりでいうと、アニメも絶好調だった『まじかる☆タルるートくん』のディフォルメキャラ4コマ『まじかる☆たるるくん』、後に連載がスタートする『とっても!ラッキーマン』の読み切り作品も掲載されている。
カードダスバトルマンガの読み切りがアツい!
カードダスといえば、『よろしくメカドック』の次原隆二先生がカードダスのバトルマンガ『ホビー戦士 燃えろ武伊(ブイ)!』を激筆している。
何でもかんでもバトル形式にしてしまうのが、ホビーマンガの醍醐味。
カードダスに命を懸ける熱血小学生の主人公が、嫌味で金持ちのライバルとドラゴンボールのカードダスで対決! なぜか見守る大観衆、金に物を言わせてやりたい放題のライバル、友情パワーで勝利を呼び込む主人公、カードダスの生みの親の登場、勝負後のノーサイドなど、ホビーマンガの王道を行く展開でカードダスの販促にひと役買っている。
ちなみに、主人公の宝物カードは『魁!!男塾』。実にツウ好みである。
あれから25年、ドラクエもカードダスも、そしてドラゴンボールまでもが現役、しかも相変わらずVジャンプの柱だなんて、当時の少年たちは夢にも思わなかったはずだ。
さらに25年後はどうなっているだろうか? なんだか今の状態が普通に続いていそうなのが楽しみでもあり、怖くもあるような……。
(バーグマン田形)
『Vジャンプ 2015年 11 月号 [雑誌]』