
「フル機能使えて安い」というPrime Music
Google Play MusicやApple Musicなど、2015年は定額制音楽配信サービスが相次いで始まった年。Prime Musicのスペックは他サービスに比べてどうなのか、今年スタートした主なサービスと比較してみた。

リコメンド以下、機能面を見ると他サービスと全く遜色ない。特に対応機器は多く、iPhone&iPad、Android端末、Kindle Fire/Fire TV、Webブラウザに対応し、Win/Macの専用アプリまで用意されている。
これだけの機能が使えて、Amazonプライムに入会していれば追加料金が無料。プライム会員の年会費は3900円だから、月額に換算すると325円という安さである。
表中のサービスはどれも1000円近い金額だが、Prime Musicと同じ月額300円代のサービスやプランもないわけではない。
・うたパス:月額300円
・AWA:Liteプラン 月額360円
・LINE Music:ベーシックプラン&学割 月額300円
・レコチョクbest:アーティストプラン 月額324円
ただし、これらのプランには「特定のアーティストしか聞けない」「ダウンロードはできない」「利用時間は20時間まで」などの制限がある。
定額制音楽配信サービスでは、ライトユーザー向けの「制限があるけど安いプラン」か、ヘビーユーザー向けの「フル機能使えるけど月額1000円近いプラン」のどちらかのプランを選ぶのが一般的。
その中で「フル機能使えて安い」というPrime Musicはかなり異色の存在だ。
もちろんプライム会員なので、送料無料、プライムビデオ見放題など他の特典もある。料金が安い上に付加価値までついてきて、他サービスとの差別化も万全。Prime Music、恐ろしい子!
弱点は曲数。しかし……
しかし、弱点もある。サービス開始時の配信曲数が100万曲とかなり少ないのだ。
Google Play Musicの3500万曲、Apple Musicの3000万曲と比べると差は歴然。J-POPではAKB48はあるがEXILEがないなど、まだまだ物足りない。トップアルバムにはテイラー・スウィフトやアリアナ・グランデなどの主要な洋楽も並び……と思ったらすぐ後ろにクリス・ハートがいたりする。デカい黒船が来た!と思ったら、積み荷がちょっぴりしかない感じである。
ただ、Amazonで取り扱うジャンルの幅が広いせいか、意外なラインナップもある。例えばSEGAのサウンドトラックがやけに充実していたりするのだ。「ファンタジーゾーン」や「Jet Set Radio」など、他の音楽配信サービスでは無いものも聴ける。

「演歌・歌謡曲・軍歌」「バラエティ・効果音」など、他サービスで見かけないカテゴリもある。まだまだマニアックな曲がありそう。全体で100万曲といえど、他サービスとかぶらない曲があればそれはアドバンテージになる。
配信曲はこれから増えていくだろうから、Amazonの品揃えのように広い裾野を保ったままラインナップが厚くなっていったら……と期待してしまう。ユーザが増えれば「この商品を買った人はこんな商品も買っています」でお馴染みのレコメンド機能も強力に効いてくるはずだ。
定額制音楽配信サービスの地図をまるっと塗り替えてしまう「伸びしろ」を秘めたPrime Music。
GoogleもAppleも、黙って見てるわけにはいかないだろうなぁ。
(井上マサキ)